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ウィーン、100年前のモダン郵便貯金局(前

【石川尚のファニチャーワールドの旅#03】ウィーン世紀末建築の郵便貯金局『Postsparkasse』。建物とインテリア&ファニチャーデザインが一体化の素晴らしい空間。ナント100年前の建物に感激の前編デス!

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

石川尚のファニチャーワールドの旅#03
ウィーン世紀末建築の代表格、オットー・ワーグナーデザインの郵便貯金局『Postsparkasse』



【 石川尚のスケッチ・コラム『椅子のある風景』#06 】で、ご紹介したウィーン郵便貯金局。
ボクが最初にここへ訪れたのが10年前。旧市街地のど真ん中シュテファン寺院広場から歩いて5・6分という便利な場所にある。その所為もあって「近いから、また来よう!」……思っているとついつい行きそびれ、気がつくと、あっという間に時間が過ぎてしまっている。近いと思うといつでも行ける!が、ナカナカ。。。。。何処も同じである。

で、念願の郵便貯金局の正面に立つ。
さすがに10年前と違って建物表面が奇麗になっている……以前は、石の外壁が長年の汚れで真っ黒。それはソレで風情のあるものだが、そこはオーストリア、ドイツ同様ゲルマン民族の几帳面な性格がそうはさせないのか、とにかくスッキリ漂白されて整然とした佇まいとなっている。

建物正面の最上部両サイドには、郵便貯金の輝かしい未来を示すようにオリーブの輪をもつ二対の天使像が神々しく立っている。(写真は左側の天使像)
写真をクリックすると建物正面全体が拡大されます。
天使像は最上位置にあるので実際に目の前で観ることができないのが、残念。しかし、建物外観には、ひときわ目をひく鈍く輝く近未来的な風貌の外壁がある。 吸い寄せられるように、その外壁に近づいてみた。
ライトグレーの表面を触ってみると、まるで象の皮膚みたいに厚く柔らかい・・・それは、波状に加工した花崗岩。その石板に整然と打たれた鋲(固定用のボルト頭部がアルミニウム)、すこし陥没し、その周りが変形した姿が、悩ましく美しい。
写真をクリックすると、ファサード正面左手の外壁が拡大されます。
10年振りの再会に感動して、建物の外壁を撫でている。。。(興味の無い人からみるとアブナイ人?でしょうね)妙な風景だが、デザイン好きには、この気持ち、ワカルでしょう! さて、再会の挨拶を終えエントランスのドアを開けて内部ヘ。 正面にはメインロビーにつながる白大理石の広い階段。その両サイドにはオフィスやプライベートエリアへの入り口がある。正面に向かって左側の壁には建築文言と時の皇帝:フランツ・ヨーゼフ一世の像がある。
時の皇帝像と同じ位置にある‘‘OTTO’WAGNER(オットー・ワーグナー)の表記から、当時オットー・ワーグナーがいかに偉大な建築家であったかが理解できる。
写真をクリックすると、左壁全体が拡大されます。
この郵便貯金局は、新しい郵便貯蓄制度に伴い1903年に郵便貯金局(正式には、オーストリア帝国郵便貯金局)の設計コンペ:Postal SavingsBank competitionが行われ、36組のエントリーの中からオットー・ワーグナーの案が優勝。そして第一期1904-1906年、第二期1910-1912年の工事の末、完成した。 2000年には、オーストリア郵便貯金(株)として完全民営化され、それに伴い建物外、内装等もリニューアルされたようだ。(つまりボクがここに足を向けなかった間に、かなりの変化があったということ)しかし、民営化によって歴史的建造物やインテリア・ファニチャー等が保護され、いつまでも当時のまま存在することは素晴らしい。ましてや、現役プレーヤーとして活躍していることは羨ましいかぎり。。。古くなったら、規制緩和の名のもとにルール改正し、壊しては、ペナペナのモノをつくる何処かの国とは大違いだなぁ。。。。。。とブツ、ブツ言いながら階段を上り、メインホール(中央窓口ホール)の扉を開けた。
ワぁぁぁ~~~!
以前よりまして奇麗になったなぁ!透明感と荘厳な空気が漂う内部空間には、ただただ、驚嘆のため息が。。。。。
写真をクリックすると、インテリア空間全体が拡大されます。
それでは、次ページでは、インテリア空間とオットー・ワーグナーデザインのファニチャーをクローズアップ!します。
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