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ウィーン、100年前のモダン郵便貯金局(前(2ページ目)

【石川尚のファニチャーワールドの旅#03】ウィーン世紀末建築の郵便貯金局『Postsparkasse』。建物とインテリア&ファニチャーデザインが一体化の素晴らしい空間。ナント100年前の建物に感激の前編デス!

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド


オットー・ワーグナーデザインの書類デスク&スツール


中央窓口ホールに足を踏み入れると、そこは白銀の荘厳な小宇宙である。
床はガラスブロック、天井は半透明ガラスの吊り天井、壁は均一化された大理石。シルバー塗装のスチール柱、アルミ製の空調吹出し口(現在は使われていない)、これら空間を構成する建築要素は20世紀初頭の新素材。対して、人が触れたり、使用するファニチャー(ドア等建具を含め)は、通常の木材(ナラやブナ等)………色といい、素材感といい、正反対の素材を超越したデザインセンスでまとめている。



白銀の小宇宙に舞い降りて来たかのように鎮座しているデスクとスツール。デスクの抽き出しには、アルミ製の鍵プレートが。。。
写真をクリックすると、空間&ファニチャーが拡大されます。
書類デスクは、ここに座って手続き書類に書き込んだり、パンフレットを閲覧したりする為の物。鍵がかかっているのかと思いきや、すんなり引き出すことが出来た。
今から100年前のデスクだと思うと感無量。鍵もかかっていない抽き出しの内部は、さすがに時間の経過を物語るように黄ばんだ表情の木材。抽き出し自体は実際には使用されていないようである。
写真をクリックすると、デスクの天板部分が拡大されます。
そして、このデスクにはボクが大好きな木製のスツール(腰掛け椅子)がパートナーとしてある。サイコロのような愛らしさがあって、近未来的な空間に人の肌のような温もりを与えてくれる。
スツールの端部にグーッとカメラを合わせて、ウ~!とか、フ~!とか感嘆のため息を発している姿って、やはり病気か。シーンっと静まりかえった空間に響くんだなぁ。。。このウ~~~ン!が。
写真をクリックすると、二種類の異なった座面をもつスツールが拡大されます。
曲げ木で構成したスツールを焦げ茶に着色して柔らかく趣のある表情に仕上げている。(曲げ木:木材を蒸して曲げる加工……世界初の曲木ファニチャーを確立したトーネット社はドイツ発祥だが、ここウィーンにもトーネット兄弟がウィーン・トーネット社を設立した。2001年にはウィーン・トーネットは、経営をイタリアのポルトローナ・フラウ社に移しながら現在もその名を残している) 座面にはドット状の穴が開けてあり、床のガラスブロックと呼応しながら存在している。ただ単にスツールをデザインしているのではなく、インテリア空間で使用している素材やパターン等と見事なハーモニーを奏でるようにデザインしている。ファニチャーを単体のモノとしてではなく、ソレを使用するお部屋や空間との関係(お部屋の色や素材や柄等の調和)を考え、楽しんで組合わせる・・・住まいでもお店でも充分応用できるモダンなコーディネートでもある。
さて、インテリア空間&ファニチャークローズアップ!はまだまだ続きます。 【石川尚のファニチャーワールドの旅#04:後編 】をお楽しみ下さい!


■ オートー・ワーグナー(建築家・デザイナー)
1841年ウィーン生まれ
ウィーン工科大学、ドイツ:ベルリン王立建築アカデミーで学ぶ。19世紀後半から20世紀初頭までウィーンや近隣諸国の公共建築に携わる。
とくに、ウィーン市総合整備計画における市営鉄道、ドナウ運河改修、道路交通計画、学校、教会、博物館、ホテル、住宅等々彼がデザインした建築は、ウィーン市街地に40数カ所現存している。
ウィーン世紀末芸術運動セゼッションの立役者ヨーゼフ・ホフマン、イギリスのマッキントッシュ、弟子のヨーゼフ・ホフマン等と交友があり、近代アートやデザイン、建築、ファニチャーデザインに多大な影響を与えた。
1918年没


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