倉俣史郎のデザイン

1991年2月に他界されすでに23年の歳月がながれ、記念の年になると各地で回顧展や記念展が開催されるデザイナー:倉俣史朗。
倉俣さんのデザインや思想が今でもクローズアップされキラ星のごとく輝く存在、僕の記事で何度も取り上げた世界に誇る日本人デザイナーの一人です。

倉俣さんは1960年代初頭から1991年他界される迄数多くの仕事をされている。建築・インテリア・家具からプロダクトまで広範囲なフィールドでデザイン活動され、中でも透明アクリルに浮かぶバラの椅子「Miss Blanche」は、代表作として鮮明に記憶されている。

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倉俣さんの代表作「 Miss Blanche / ミス・ブランチ 」     photo / NAO ISHIKAWA


私事であるが、僕と倉俣さんの出会いは現役のデザイナーとしてご活躍されている真っただ中、後輩の指導として教壇に立つ為に美術大学(東京造形大学)にいらした時だった。そのくだりは、【倉俣史朗のデザイン】Homage to Mondrian 1975 に記しているので割愛するが、とにかく倉俣デザインの存在は大きい。

あらゆる分野で「デザイン」抜きには存在しない現代社会。星の数程あるデザインの産物の中で暮らす私たち。デザインの在り様が人間の生き方に影響を及ぼすと言っても過言ではない。モノづくり・モノ選びの多くの場面で遭遇する「デザイン」。そのひとつの指標として、倉俣さんが残された多くの「仕事」を通してデザインの可能性、デザインの意味、そしてデザインのメッセージをひも解き、ご紹介します。


変型の家具が語る笑ってはいられない現実

四角い箱がグニャ~ンと歪曲し、まるで自分の意志で自由に動きだしたようなユーモラスな家具がある。
この家具は、倉俣さんが1970年にデザインした「変型の家具」。
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「変形の家具/Furniture in Irregular Forms 」1970年 製作:フジコー家具装飾部 仕様:側板/単板積層成型合板 ラッカー吹付け塗装 photo:Takayuki Ogawa(引用:「倉俣史朗の仕事」/ p45 / 発行:鹿島出版 )●クリックすると拡大します


モノが生命を持つとコンな感じ、『いや何時も黙って楚々(そそ)としているが、実はボク(いや、ワタシか)は、生きているンだ!どう?』て、ポーズをとっている。。。感じ。
部屋の中にこの家具を置くと全てのモノが影響され歪曲して動き出すんじゃないかな。。。と想像する。
子供たちの前に置いたら、喜んで触りまくるだろうなぁ。。。と想像する。
。。。とにかく、想像力が豊かになる。

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「変形の家具/Furniture in Irregular Forms 」1970年    製作:フジコー家具装飾部 仕様:側板/単板積層成型合板 ラッカー吹付け塗装  photo:Takayuki Ogawa (引用:「倉俣史朗の仕事」/ p46-47 / 発行:鹿島出版 ) ●クリックすると拡大します


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「変形の家具/Furniture in Irregular Forms 」1970年     製作:フジコー家具装飾部 仕様:側板/単板積層成型合板 ラッカー吹付け塗装  photo:Takayuki Ogawa (引用:「倉俣史朗の仕事」/ p46-47 / 発行:鹿島出版 ) ●クリックすると拡大します


と、同時に既成の概念や価値観がいつしか(誰かの手で、また恣意的に)歪み歪曲され、今迄と異なる概念や価値観が当たり前になることを思う。
暴力的に言ってしまえば、「嘘」が「真実」になり、「真実」が「嘘」になり、記憶として人々に残る。

そんな馬鹿な!とお思いであろうが、実際世の中ではあること。
人間は数々の過ちを犯し、物事を良いように解釈し、時には捏造してコトを起こしてきた。政治でも、教育でも、戦争でも。。。
安全、安心と唱え推進してきた国家プロジェクトである原発事業も、実際大震災が起こると想定外の言葉で結果的には世間をごまかし、未だ解明、解決されていない実態が真実。
少々話が大げさになってきたが、この家具を見ていて笑ってはいられない現実を考えてしまう。