文字どおりのビッグマイナーチェンジ
2012年の11月末にデリバリーが開始された新型Q5は、エンジンを一新するビッグマイナーチェンジを受けたモデル。ヘッドライトをほぼ周回するLEDのポジションランプが先進性をアピールするほか、上辺の角が取れた6角形デザインのシングルフレームグリルを採用するなど、弟分のQ3に似たフロントマスクを手に入れている。
ほかにもフロントバンパーやフォグランプのデザインも変更され、マイナー前のやや地味な印象からよりスタイリッシュに生まれ変わった印象を受ける。
エコだけではない痛快な加速が味わえる
今回試乗したのは、2.0Lの直列4気筒ターボを積む2.0 TFSIクワトロで、ほかにも3.0LのV6 DOHCスーパーチャージャーを用意するが、少なくても動力性能としては新開発された2.0Lターボでも何ら不足はなかった。
2.0Lターボに組み合わされるのは、フォルクスワーゲンでいえばDSG、アウディではSトロニックと呼ぶ7速のデュアルクラッチではなく、Q7にも積まれている8速ティプトロニック、つまり8速ATだ。
最大トルクこそ従来の2.0Lと同じ350Nmだが、最高出力を13psアップしながらJC08モード燃費は、10.6km/Lから12.5km/Lと約2km/Lも向上。走らせると感じるのが、素晴らしかった7速Sトロニック以上に完成度の高い8速ATの洗練具合で、極低速域からスムーズで、しかもパワーの出方も13psアップ以上の伸びを感じられる。
高速道路の合流でも、料金所からの再加速でもストレスとはまったく無縁。1.9tに迫る車重を感じさせない痛快な加速には、ターボの過給があるとはいえ、本当に2.0Lかなと驚かされる。新型フォレスターの2.0Lターボとはサイズも価格も違うが、加速フィーリングの素晴らしさは、フォレスターに56psも及ばないとは思えないほどで、クルマはスペックだけでは分からない好例だと思う。
新型Q5のご機嫌なフィーリングは、先述した8速ATの貢献度も大きく、いつの間にかATの分野でも日本車は欧州車に先を越されてしまった。
試乗車はスポーツサスペンションを備える「S-line」で、しかもオプションの255/45R20タイヤを履くが、乗り心地も望外に良かった。これなら見た目重視で20インチを履いても家族やゲストからクレームは来ないだろう。
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