ゆうちょ銀行の通常貯金とは?
意外に有利な通常貯金
利子は1年を365日とする日割り計算で、年2回、3月31日と9月30日を区切って、4月1日と10月1日に元金に組みこまれることになります。いわば「半年複利」ということになりますが、同じゆうちょ銀行の定額貯金のような繰り延べ効果はありません。
民間金融機関の普通預金に該当するため、給与や年金などの受け取り、公共料金などの引き落としなどの決済口座として利用することができます。通常貯金と通常貯蓄預金の間で、資金移動を行う「スウィングサービス」も利用できますが、スウィングサービスにも手数料はかかりません。税引後の受取利子の20%を海外援助事業等を行うゆうちょ銀行が指定する団体に寄付する「ゆうちょボランティア貯金」の取り扱いにすることができるのは通常貯金ならではの仕組みと言えるでしょう。気になる適用金利は、2012年12月21日現在、0.03%になっています。
なぜ、通常貯金金利は好金利なのか?
通常貯金金利0.03%、普通預金金利0.02%(メガバンク)というように、適用金利は低いものの史上最低水準にある定期預金金利と比較すると、高止まりしていると言えなくもありません。本来、出し入れ自由=流動性が高い預金金利は低いと言うのが定説なのですが、絶対比較こそ低金利ですが、相対比較では低いとは言い切れません。なぜなら、通常貯金の史上最低金利は0.005%、普通預金は同0.001%だからです。史上最低金利と比較すれば、通常貯金は6倍、普通預金は20倍も高い水準なのは、日本銀行の金融政策から影響を受けているからです。日本銀行は、量的緩和という形で金融緩和を続けていますが、誘導目標とされる無担保コール翌日物金利を0~0.1%に留めているために短期の市場金利が史上最低まで下がらないことから、高止まりとなっているのです。
日本銀行の金融政策決定会合は毎月行われていますが、無担保コール翌日物の誘導目標を変更しない(引き下げる)限りは、通常貯金の適用金利は好金利であり続けるのです。
どのくらい有利なのかと言えば、一般的な商品の仕組みでは1円以上1円単位から預け入れができるスーパー定期の3年物、5年物の金利も0.03%なのです(2012年12月21日現在、メガバンクの金利)。
定期預金は満期前に解約すれば、期限前解約利率という適用金利よりも低い金利が適用されますが、通常貯金には満期がありませんので中途解約という概念が存在しないのです。いつでも出し入れ自由なうえ、適用金利はメガバンクのスーパー定期3年、5年並みの金利ですから、いかに通常貯金が有利なのかがわかろうかというものです。
デメリットと言えば、いつでもペナルティーなしで出し入れ自由であることから、知らぬ間に使ってしまいかねないことでしょうか。本来、流動性が高い商品ではお金を貯めにくいといわれているからです。
ゆうちょ銀行の通常貯金が有利だとはいえ、あくまでもネット銀行などを利用しない、また、日本銀行が無担保コール翌日物金利を引き下げない中での、あだ花であることだけは認識しておきましょう。