食と健康/乳児・幼児・子供の食事・レシピ

子どもの力を引き出す「弁当の日」(2ページ目)

買物から後片付けまで、こどもが一人でつくるお弁当。大人は手を出さず、ただ見守るだけ。「弁当の日」の提唱者、竹下和男氏のお話を通じて、子どもの本来持っている力を引き出し、よりよい社会をつくるためのヒントをご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド


問題の多い若者の食生活

竹下和男

「弁当の日」提唱者の竹下和男氏のスライドに込められた数々のエピソードに感動し、何度も講演を聞く人もいます。
画像提供/大阪ガス株式会社

次に竹下氏は、現在の大学生の食生活のデータをスライドで紹介。朝・昼・晩の食事に菓子パンを食べていたり、10時以降深夜まで30分ごとに、トマト、ワカメ、果物を口にしていたり、アイスクリームなどのスイーツも頻繁に登場しました。

以前食関連のシンポジウムで、竹下氏がこの食事内容や生活を紹介したところ、専門家からは、
  • 体内時計が狂っている
  • 調理をほとんどする必要がない
  • 噛むことも必要ない、
などの問題点があげられ、多くの若い人たちは同様の食事をしているという話題も出たそうです。

子どもの持っている本来の力を引き出す

竹下氏は、こう語ります。

「幼少期の子どもの脳の中で、脳の働きの中心的な役割を果たす神経細胞ニューロンは増え続けて一度安定しますが、8歳頃から一旦減り85%位で安定します。その残りの15%は、その後19歳位までの間に人との付き合い方等の経験を通じて獲得していくのです。

なぜ、8歳くらいで一度増えた二ューロンは減るのか? それまでに使わなかったニューロンを整理しているのです。せっかく能力があるのにもかかわらず、それを伸ばす機会を失うことは、もったいない。私は教育者ですから、『人権』という視点から、本来持っている能力を引き出すべきであると考えました。

また今の日本は、子育てを楽しめない人が増えている社会、家族のあり方が問われている時代です。私は、どんな子どもでも関わりその成長を見守ることは本当に楽しいことだと思います。一人でも多く子育てが楽しめる人を増やすためには、子どもを取り巻く社会を変えたい。そのための方法が、『弁当の日』だったんです。」

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