石川尚の「気になるデザイン」
『原点』こころのデザイン 日本の傑作椅子 写真集02
(引用:別冊商店建築78「日本の木の椅子」,p54,商店建築社発行) |
1950年代、三人の建築家とそれぞれの事務所の家具デザイナー三人の共作の東京・六本木にある国立文化会館。
2Fの1室にズラリとならんだダイニングチェアに腰掛け、この椅子のデザイナー:水之江忠臣氏となにやら真剣な眼差しでいるイームズ氏が映っている一枚の写真がある。
イームズ氏がデザインディレクターを務めた米国家具メーカー:ハーマンミラー社を日本に紹介した水之江氏は、このダイニングチェアを商品化するまで100脚をこえる試作品を作られたそうである。
ブナ材のフレームと成形合板による座と背のいたって簡単な部材による構成だが、背板の角のアール、座の傾斜、後ろ足の断面形状、貫の位置等々わずかな問題点にも妥協せず、より完成度を追求したデザイナーの姿勢がディテールに表れている。
量産化されてもなお、数々の手直しを加え続けたと聞くと、まさに「整理の鬼」………関心をこえて、空恐ろしくなる。
実際に座ってみると、無理なく身体にしっくりとくる椅子、個人の食卓でも公共スペースでも馴染むデザインは日本の椅子の中でも超ロングセラーの逸品なのである。
■ ダイニングチェア(1955年)
・デザイン:水之江忠臣
・製造/販売:
・サイズ :W460 D535 H765 SH420
・素材 :ブナ材、チーク材(背・座)
・仕上 :オイル仕上げ
↓ 水之江忠臣氏の資料探索中継、『ザ・仕事の現場』Part4
をご覧ください。
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