ひたすらお金を刷り続ける? 安倍総裁の金融政策

安倍総裁はお金を大量に刷る政策を提案している。

安倍総裁はお金を大量に刷る政策を提案。その内容とは?

盛大な「万歳!」の掛け声とともに、11月16日に衆議院が解散。政治家は休む間もなく、12月16日の投票日に向けて選挙モードに突入しています。

そのようななか早速、最大野党自民党の安倍晋三総裁が、かなり大胆な政策を提案しました。その政策とは、「景気回復を目指して、無制限に金融緩和を行う」というもの。平たく言うと、「輪転機をフル回転させ、お札をひたすら刷り続ける」という政策です。

これまで安倍総裁は、「基本的には2~3%のインフレ目標を設定し、それに向かって無制限緩和していく」「公共投資を行い、そのための建設国債を日本銀行に全部買ってもらう」と言っています。

日本経済がずっとデフレ状態にあるので、それを打開するため、2~3%というインフレターゲット(物価上昇の目標値)を設定。その目標を達成する手段として、日銀による無制限の金融緩和を行っていくというものです。

なぜ今、無制限緩和なのか?

安倍総裁やこの政策に賛成している人は、なぜ今、無制限金融緩和が必要だと考えているのでしょうか? それは日本経済が長年デフレにあり、生産・消費といった経済活動が停滞しているためです。その停滞を打破するためには、お札をもっと刷り、市場にばら撒くことが必要だと考えているのです。

金融緩和自体は何も新しく始めることではなく、リーマンショック後に日銀が少しずつ行ってきました。日銀による金融緩和は2010年から始められ、少しずつその金額を増加。2012年になって急ペースで増やし、10月には総額91兆円に達しています(詳しくは「日銀さらに金融緩和11兆円実施 効果は?」をご参照ください)。

しかし、一向に回復しない日本の景気。それを見て、安倍総裁はこれまでのような制限つきではなく、無制限の緩和が必要と考えたわけです。

ちなみに、金融緩和はリーマンショック以降アメリカやEUも大規模に行っています。こちらは金額もすでに日本円で数百兆円単位に達し、日銀とは一桁違います。アメリカが最近発表した金融緩和政策(QE3)は、「終わりの期限を設けない」という事実上の無制限緩和政策でした。

日銀法改正も視野に

さらに最近発表された自民党の公約では、「日銀法の改正も視野に政府・日銀の連携強化の仕組みを整える」としています。ここでは、具体的に日銀法の第何条のどの部分を改正するのか述べられていません。もともと、「政府・日銀の連携強化の仕組みを整える」というゴール自体がまだ曖昧なので、第何条を改正するのか言いようがないとも考えられます。

ただ曖昧ながらもここで伝えたいことは、「日銀の独立性をある程度制限し、政府が金融政策に対する一定の決定権を持てるようになる」ということと考えられます。ということは、これまでのように日銀が政府の干渉を受けず、金融政策を決められなくなる可能性も出てきます。これに対し、日銀の白川総裁や他の関係者は、「慎重な検討が必要」など、すでに懸念を表明しています。

ところで、安倍総裁の発言で「建設国債を日本銀行に全部買ってもらう」という部分がありました。この発言はいろいろな解釈が可能ですが、「国債を直接日銀が政府から買う」という行為は、財政法の第5条によって原則禁止となっています。

この点を突っ込まれて、安倍総裁はその後「直接買い取ると言ったわけではない」というフォローを入れていました。