スマートハウス・エコ住宅/スマートハウス・エコ住宅の基礎知識とトレンド

スマートハウスとMEMS(2ページ目)

これまで紹介してきたHEMS、CEMS、AEMSに加えて、マンション内のエネルギー表示・制御システム「MEMS」もあります。戸建のスマートハウスとどう違うのか。マンションのスマートハウス化MEMSの最新事例を現地取材してきました。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド


さて、ガイドがこのケースで特に注目したのは、マンション内のエネルギー表示・制御システム「MEMS」と、地域内のエネルギーマネジメントシステムCEMSが、どのようにつながって連携しているのかを実際目の前で確認してみることでした。

停電時シミュレーションも報道公開

モニター

共用部エントランスに設置されたモニター画面

具体的には、マンションの共用部にコミュニティ用蓄電池(東芝の産業用リチウム蓄電池を住宅で使うのは初めて)、専用部にはヒートポンプ式給湯器を設置。これらの情報を、東芝が開発するCEMSに送り、地域全体エネルギー利用情報を照らし合わせやうえで、マンション全体で使えるエネルギー量に合わせて電力制御(デマンド・レスポンス)できるというもの。

停電

共用部で災害・停電時のシミュレーション実験が行われた

CEMSからの依頼で自動制御されるのは、共用部のエアコンや照明、EV充給電機、蓄電池、住戸内のエアコン、エコキュートなど。共用部エントランスホールの壁に設置されたモニター画面には、共用部エネルギーを自給する太陽光発電の量や蓄電池残量、共用部で使っている照明やエレベーターの使用電気量が表示されます。

…と言葉で説明されても、なかなか実感沸かないのはガイドも同じ。その体験の場として見学会では、災害時の停電時を想定してブレーカーを落とし、どうなるかを実験。一度暗くなりましたが、コミュニティ蓄電池やEVからのエネルギーを使って、共用部の照明やモニター画面は落ちなかったという実験が行われました。

クルマが「シェア」「宅配レンタル」「非常時電源」の1台3役に

EV

非常時、共用部の照明など最低限エネルギーはEVから逆給電できる

「パークホームズ大倉山」では日産レンタカーと提携し、業界初の「宅配レンタカー」を用意。これはクルマが必要になった時に車種を選んで連絡すれば、車が必要な時に届けられ、引き取りもしてくれるというシステムです。

また災害時には日産リーフのバッテリーを非常用電源としても活用する、マンションで初のV2H(Vehicle to Home)システムを導入。クルマを所有しなくても「シェアして、宅配レンタルできて、非常用電源にもなる」と1台3役のモビリティスタイルを提案しています。
蓄電池

敷地内には大規模なコミュニティ蓄電池集積スペースも


三井不動産レジデンシャルは2012年夏、環境と防災をテーマにしたマンションスマート化の独自基準を策定し、首都圏から順次、全マンションをスマート化していくことを発表しています。

MEMSは言い換えれば、複数の家族を面でなくタテで擁するスマートコミュニティ的な考え方。こうした「縦版スマートコミュニティ」も今後増えていくことでしょう。
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