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建築家にインタビュー エコ特集(1) 前の家の部材をいかして新築する

これからの住まいは地球環境に配慮するという視点も必要です。2回にわたって住宅とリサイクルについて考えてみます。1回目はどんなものをリサイクルできるのか、建築家・植木秀視さんにお話を伺いました。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド



■「ゴミを減らす」「リサイクルする」という、ふたつの方向性

これからの住まいづくりを考えるとき、地球環境という大きな視点も必要です。地球に優しいとか、環境に配慮した家づくりといったとき、ふたつの方向性が考えられると思います。
ひとつは、建設廃材などをできるだけ出さないようにするという方向性。もうひとつは、部材などをリサイクルして使う循環型の住宅を目指すという方向性です。普段の私たちの生活に置き換えていうなら、ゴミをできるだけ出さない工夫をし、新聞紙やアルミ缶などをリサイクルしながら生活するというところでしょうか。このふたつはどちらかを実践するというより、並行して考えていく必要があると思います。
今回はこの両面について、ホームページで説明したり、いろいろな試みを実践している建築家の植木秀視さんに、環境という側面からとらえたときの住宅についての考え方から、何をどうリサイクルできるかを伺ってみました。

Q.植木さんが考えるリサイクル住宅とは、どんな考え方ですか?
A. 古い家をすべてをゴミにするのではなく、新しい家に継承することを考えています

長い間暮らす住まいには少なからず愛着があると思います。この愛着のある家を建て替えるとき、「解体してすべてをゴミにしてしまうのではなく、新しい住まいに部分的にでも継承していこう」という発想が私の考えるリサイクル住宅なのです。

Q. 実際にどんなものをリサイクルすることができるのですか?
A. 柱、梁、建具、石、基礎のコンクリートなどを再利用しました

実際に私が手がけたケースでは、旧宅の柱や梁を新居のインテリアとしていかしたり、サッシや襖、障子などの建具はそのまま新居に使いました。それから、新しい家の玄関を入ると旧宅の玄関が移築したかのように、古い玄関ドアや式台をそのまま新居に取り入れた例もあります。下の表は、東京のOさんお宅の例を一部紹介したものです。

旧宅での使用箇所新居で利用した部位、場所
玄関の仕上げ用の竹⇒階段の手すりに利用
小屋梁⇒個室の天井に化粧梁として利用
アルミ製サッシ⇒渡り廊下に取り付け
襖、障子、欄間の障子⇒2階和室にそのまま利用
ポーチの鉄平石⇒リビング前のテラスとして利用塀の大谷石⇒玄関前の敷石として利用
和瓦⇒庭石として利用
基礎⇒コンクリートを細かく砕き、基礎を打つ前に敷き込む


 
Oさんの家では、旧宅の玄関の鉄平石をテラスに再利用しました旧宅の梁を新居の梁として使っています

次のページでは、建設廃材を減らせたのかについて聞いてみましょう。
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