年収500万円、子ども2人で税負担は32万円増!!
他人ごとではない「増税破産」
これは別に脅しではありません。ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子さんはこう指摘します。
「これまでも増税や社会保険料アップはありましたが、ややもすると気付かない程度でした。しかし、今後は否が応でもはっきり感じる、重い負担増となってくるでしょう」
そのイヤな動きの兆候はすでに4年前から始まっています。2011年10月の子ども手当の減額(現在は児童手当)。中学生までが一律1万3000円の支給だったのに対し、0歳~3歳未満が月1万5000円、3歳~12歳は月1万円(第3子以降は月1万5000円)、中学生は一律1万円に変更になりました。この結果、3歳以上中学生以下のお子さんが2人いる家庭では、年間7万2000円も支給が減ったことになります。
これに加えて、2012年から2015年にかけて増税や社会保険料アップが目白押し(表1参照)。とりわけ気になるのは消費税ですが、見過ごしてしまいがちな住民税の「年少扶養控除」の廃止も、子どものいる世帯には影響大です。実は、2011年に所得税に対しても同控除(控除額38万円)が廃止になっています。収入などによってはこの控除廃止による増税分が、児童手当を上回るケースもあるとか。
さらに、消費税や社会保険料のアップ、児童手当の減額などをもとに、具体的な試算をしてみると、その増税の大きさが実感できます(表2参照)。傾向としては、同じ年収なら子どものいる世帯の方が子どもなし世帯より負担が大きく、たとえば年収500万円、小学生の子ども2人の家庭の場合、2011年度とその2016年度の比較では、税負担が約32万円も増えています。
「つまり、家族構成によっては給与1カ月分が丸々なくなってしまうほどの負担増となるわけです」(ファイナンシャル・プランナー/八ツ井さん)
貯蓄のあるなしにかかわらず、増税は訪れます。現時点で貯められない人は、今すぐに貯蓄に取り組む必要性があるということを認識できたはずです。
八ツ井慶子さん
ファイナンシャル・プランナー。大学卒業後大手信用金庫に入庫。本当にお客様にとっていいものを勧められる立場になりたいとの思いから、個人相談が中心のファイナンシャル・プランナーとして独立。近著に『ムダづかい女子が幸せになる38のルール』(かんき出版)と『サラリーマン家庭は"増税破産"する! 』(角川oneテーマ21)がある。テレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。All Aboutマネーのガイドを務める
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取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ パネルデザイン/引間良基