都心から20分弱、
自然が豊富で並木がきれいな街
道は広いものの、住宅地内のあちこちには坂。一戸建てでは二世帯住宅になっている家も多かった
鷺沼(川崎市宮前区)は渋谷から東急田園都市線急行で20分弱、たまプラーザの一駅手前の街です。昭和28年に東急電鉄が中心となって進めた土地区画整理事業によって作られた街のひとつで、以前は他の街同様、広大な丘陵地でした。そのため、駅を離れると、どちらの方向に向かっても坂、坂、坂。非常に坂の多い街です。
駅前のJAにあった散策コースの看板。駅やJAなどにパンフレットがあるそうだ
また、計画的に作られた街だけに多くの通りに並木があり、新緑や紅葉が美しいのも印象的。特に駅周辺には桜が多く、春には見事な風景が楽しめます。元々、このエリアには農業に加え、植木栽培を手がける農家が多かったそうで、農協などが音頭をとって地元の緑を散策するコースなども作られています。メロンや梅、花卉栽培地などもあるそうで、一度ゆっくり歩いてみたいものです。
北口から宮前平方面を見たところ。長い坂になっているのが分かる。坂を下った辺りに車庫がある
もうひとつ、鷺沼という街を紹介するにあたって忘れてはいけないのは、この駅と一駅手前の駅、宮前平駅の間にある車庫です。これがあるため、鷺沼では始発、終電が利用できます。ただし、始発は平日だと朝5時台、6時台だけなので、利用できる人はそれほど多くないでしょう。一方終電は最後の一本が鷺沼行。遅い時間でもここまでは帰れるわけで、夜の遅い人には便利でしょう。また、平日なら、渋谷から1時半までに3本ある深夜急行バスも利用できます。足回りでは東名高速川崎インターが近く、国道246号もすぐです。
駅前には大規模商業施設、
コンパクトな商店街も
北口の正面には市の行政サービス窓口があり、区役所まで行かなくても済む
では、実際の駅の様子を見て行きましょう。商業施設が集まって賑やかなのは駅の正面口。線路を跨いで反対側に北口がありますが、ここは2011年にできたばかりで、北口は正面口から続く道路沿いを除いてはほぼすべてが住宅街となっています。
駅前のロータリーにはバス乗り場、タクシー乗り場が設置されており、それを囲んで飲食店などがある
ロータリーのある正面口には同じ沿線の梶ヶ谷や宮崎台、青葉台、東急東横線の武蔵小杉、横浜市営地下鉄のセンター北など多方面に向かうバスロータリーがあり、利用者も多数。商業施設の豊富な港北ニュータウンもバスで行けばすぐで、日常的なお買い物エリアと聞きました。駅周辺にはバス便利用の地域が広大にある場所なのです。
駅のすぐ前にあるフレル鷺沼。1階のスーパーは25時まで営業
ロータリーを挟んでは4階建ての商業施設フレル鷺沼があります。スーパーの他に書店、衣料品店などが入っており、毎日の生活に必要はものはほぼ揃います。周辺は商店街になっており、人通りもあって賑やかです。ただ、住宅街ですから、夜間遅くまでやっている店は多く、そのあたりは健全な暮らしをする人の街といえそうです。
街中のあちこちに予備校、塾などの看板があった。この辺りでは中学校から受験する子どもが多い
歩いていて目についたのは学習塾、予備校の看板。東急田園都市線沿線は教育熱心な家庭が多いのでしょう、鷺沼以外の駅でもこうした業種が多いようです。もうひとつ、駅前に、都心でも少ない茶道具店があったことにもちょっとびっくり。お伺いしてみると、近隣に茶道をやっている方も多く、また、都心からわざわざ買いに来られる方もいらっしゃるのだとか。茶道の道具は良い値段のものが多いことを考えると、周辺住民の懐具合もなんとなく想定できるというものです。同様に駅の両側に一つずつスポーツクラブがあったのも目につきました。趣味、スポーツを楽しむ人の多い街というわけです。
一戸建て中心の住宅街。マンションも低層のものが主体。真ん中にあるのは企業が所有するグラウンド
駅から離れるとすぐに住宅街が広がります。特に北口側は道路沿い、線路沿いに一部マンションはあるものの、それ以外は主に一戸建てが中心。鷺沼3~4丁目にかけては、ゆったりした敷地の住宅も多く、とても静か。店舗はもちろん、自販機も見かけません。ただ、さらに駅から遠ざかり、東名のインター近くになるとマンションも多く建てられています。
鷺沼プールの跡地に作られたフットサルコート。公園なども作られ、憩いの場となっている
北口側にはかつて多くの人に愛された鷺沼プールの跡地を利用したカッパーク鷺沼があります。ここには6面のフットサルコートと公園、せせらぎがあり、取材に訪れた日も平日というのに歓声が上がっていました。
国道246号沿いにはマンションが多い。一方で藁葺きの農家なども見かけた
南口側は駅から国道246号に沿った辺りまでがマンションも建てられているエリア。それを越して、中有馬、東有馬あたりまで行くと一戸建て、市営団地、小規模な集合住宅に畑などが入り混じるようになり、のどかな雰囲気になってきます。こうしたバス便利用エリアが多いためでしょう、国道246号から駅までの間にはバイク置き場が設けられていました。天気の良い日はバイク、雨が降ったらバスというような使い分けがされているようです。
続いて、気になる
東急田園都市線鷺沼の住宅事情を見て行きましょう。