ウィーン新進気鋭デザイナー:リチ、そして上野伊三郎
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京都に生まれた上野伊三郎は、早稲田大学で建築を学んだ後、ドイツに次いでウィーンで学びました。1924年8月から11月まで、ヨーゼフ・ホフマンの建築事務所に勤務。一方、ウィーンに生まれたリチは、1911年よりヨーゼフ・ホフマンが主宰するウィーン工房に入り、テキスタイルや陶芸、ガラス、七宝など幅広いジャンルのデザイナーとして活躍。(中略)第一章では、リチが制作した水彩画を始め、1920年代のウィーン工房時代に制作されたテキスタイル・デザインの原画等を紹介します。
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(引用:展覧会プレスリリース)
(左)「ヨーロッパ最後の港」作:上野リチ、所蔵:京都国立近代美術館、(右)会場風景。 |
ウィーン時代のリチの作品と伊三郎の住宅図面が展示されていますが、ほとんどがリチの作品でした。風景画「ヨーロッパ最後の港」(作:上野リチ、所蔵:京都国立近代美術館)では、島や森の木々などが極端にデフィルメされ、色鮮やかな色調で織りなされています。
このセクションを出て、2階へ。
階段をあがると、、ワぁぁ!!正面にカラフルでかわいらしい図柄が見えてきました。
(左)トップライトからの自然光が心地よい2階への階段。(右)階段を上がりきると正面壁に可愛らしい図案が。 (写真をクリックするとリチ独特の色構成の壁紙画像が拡大されます。 必見デス!) |
1920年代のウィーン工房時代に制作されたリチのテキスタイル・デザインの原画や「リックス(リチ)文様」と呼ばれたプリント生地の原画、それに明るく思わず微笑んでしまう壁紙シリ-ズ「そらまめ」のパターン(ドイツ、ザルブラ社の壁紙)。何れを見ても、可愛らしくそしてクォリティーが高い。
20代後半にして、世に名を遂げていたリチ。日本からウィーンへ渡欧し、同じヨーゼフ・ホフマンのもとで仕事をした上野伊三郎にとってリチは、羨望の眼差しの存在であったに違いないなぁ。。。
それにしても、何がきっかけで(今で言う)新進気鋭デザイナー:Felice”Lizzi”(リチ)と伊三郎が結ばれることになったンだろう。。。チと三面記事的な妄想にかられますが、気になるところ。
さて、
奥の展示室:第2章 上野伊三郎と「日本インターナショナル建築界」/第3章 「上野伊三郎とリチの京都」へと進む。
帰国、そして関西初のモダニズム建築「日本インターナショナル建築会」
(左)機関誌「インターナショナル建築」等貴重な資料がズラリ。(右)「インターナショナル建築」第3巻第10~12月号,1931年 (写真をクリックすると時代性のある「インターナショナル建築」表紙画像が拡大されます。) |
ここでは、建築家:上野伊三郎の活動を紹介しています。 どのような経過で二人が結ばれたか?(まだ気になっている筆者)は、別として、ウィーンからリチとともに帰国した伊三郎は、1926年に「上野建築事務所」を京都上京区に開設。リチも美術工芸部主任として仕事を支えています。ここで関西初のモダニズム建築運動「日本インターナショナル建築会」を起こし、機関誌「インターナショナル建築」創刊。 ここで驚くのが、伊三郎・リチの海外ネットワーク。ブルーノ・タウト、ヨーゼフ・ホフマン、ヴァルター・グロピウス(バウハウス初代校長)など信じられないほどのクリエィターが外国会員となり、1933年5月に同会の招聘でブルーノ・タウトが来日。凄いですね、上野夫妻、ヤルッ!ですネ。
(左)第3章会場風景。手前の展示台は上野伊三郎がデザインした「島津邸」の*貴重な図面と青焼(特別出品)。(右)「島津邸」外観(「インターナショナル建築」第1巻創刊号) |
結婚後、京都で活動の上野夫妻は、市内の個人住宅をはじめ建築の仕事を共同で行ってゆきます。
「島津邸は、現在は日本バプテスト病院となっているのですが(増改築されています)、なんと京都国立近代美術館での展覧会会期後に、病院に残されていた資料の中から「島津邸」の伊三郎直筆の*設計図面(原図)と青焼が発見されたのです。これを当館では特別出品いたしました。」(学芸員:佐川さん)
……知られざるデザイナー・建築家:上野伊三郎+リチへの貴重なニュースですね。
『あっ、この素敵な「飾箱」は? いやぁ、、ポップで可愛いですね、この「プリント柄」!』
さて、
リチがウィーンでも試みていた七宝、プリント地。カラフルで可愛くて人間性が忍ばれる作品たち。そして、村野藤吾との共作空間。いよいよ上野夫妻のインテリア空間作品が登場します。
この続きは後編でご紹介します。お楽しみに!
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■今回の関連リンク
→目黒区美術館
→京都国立近代美術館
→村野藤吾を読む。
■「上野伊三郎+リチ」コレクション展
■会場:目黒区美術館
■会期:2009年4月11日~5月31日
※ 取材協力:目黒区美術館
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