耳・鼻・喉の病気

耳かきが原因で耳の病気になることも!?

「耳垢」(じこう、みみあか)がたまっていると、音が聞こえにくくなったりします。たまると良くないものですが、とはいえ耳かきをし過ぎても良くないのです。今回は、正しい耳かきについて説明したいと思います。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

文部科学省が子どもの健康状態を把握するために行っている調査によると、中耳炎や外耳炎など耳の病気のある小中学生の割合が増えているようです。アレルギー性鼻炎の増加や、耳かきをし過ぎて傷つけていることなどが原因だといわれています。
 

耳垢って何?

耳

耳の構造です。鼓膜までを外耳と言います。

「耳垢」(じこう、みみあか)は主に耳の穴から鼓膜の間(外耳)で発生し、新陳代謝で古くなった外耳の皮膚の一部や、耳に入ったホコリ・ゴミ、さらに皮膚から分泌される液体によってできています。外耳は鼓膜までの部分をいいますので、耳垢は中耳とは関係がありません。
 

耳垢の働き

耳垢には良い面と悪い面があります。

■良い面
  • 外耳の皮膚の潤いを保つ
  • 抗菌作用
■悪い面
  • 耳垢が多いと、外耳道が詰まり、聞こえにくくなる
 

耳垢を取るべき?

外耳道には、顎を動かすことなどで耳垢を自然に排出させるシステムがあるため、無理に取る必要はありません。特に、乾いた耳垢は自然に排出されます。むしろ耳垢を取り過ぎると、外耳は乾燥しやすくなってしまいます。さらに、カビや細菌が繁殖することで慢性的に炎症を起こし、耳垢が湿ってしまうことで、より耳垢が自然に出にくくなることもあります。これを、慢性外耳炎と呼びます。
 

耳垢を取る時に

耳の穴には迷走神経という副交感神経が走っていて、この神経には体をリラックスさせる作用があります。耳掃除が気持ちいい理由が分かりますね。とはいえ、耳垢の取り過ぎは良くありません。
 

正しい耳垢の取り方

耳かき

耳掃除はあまりし過ぎないように

耳垢の掃除は週に1回から月に1回程度に留めましょう。耳かき棒は耳の奥まで押し込まないようにします。綿棒を使用する時も同じです。 耳垢を鼓膜の方へ押し込んでしまうと、鼓膜自身を傷つけたりしますので、できれば耳の穴(入口)から1cmぐらいの所で耳垢を取るようにします。

また、耳垢の状態によって対応が異なります。乾いた耳垢なら、そんなに耳垢を取らないほうがいいですし、湿った耳垢なら耳かきで耳の外へと取り除きます。

耳かき棒であまり耳垢を取ろうとすると、外耳の皮膚を傷つけて、外耳炎を起こしますので、強くこすらないようにしましょう。また、全ての耳垢を取りきらないようにしましょう。

次のページで耳垢に関するウソ?ホント?を説明したいと思います。
 
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