乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因・発生頻度
乳幼児突然死症候群は、英語では「Sudden Infant Death Syndrome」と言い、「SIDS(エスアイディーエス)」と略します。名前の通り、1歳未満の乳児が、事故や病気でなく、さらに健康状態がよいままで、主に寝ている間に突然に死にいたってしまう病気です。原因は不明で、死亡状況や剖検をしても死因がわかりません。不幸にして、出生数約6,000~7,000人に1人に発症し、年間100人の発生があります。平成23年度では148人の子どもが亡くなっています。年齢では主に生後2ヶ月~6ヶ月までに多いです。私も小児科医を20年していて、今までで2人、辛い経験をしました。
乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症危険因子
乳幼児突然死症候群の原因はわかっていません。背景の調査によれば、以下の傾向が報告されています。- 男児
- 早産児・低出生体重児
- 冬季、早朝から午前中に多い
- うつぶせ寝
- 両親の喫煙
- 人工栄養児で多い
乳幼児突然死症候群(SIDS)の対策
原因がわからないので、発症危険因子と考えられるものを減らすことです。親としてできることは3つです。子どもの寝顔を見てあげましょう
うつぶせ寝の方があおむけ寝より乳幼児突然死症候群の発症率が高いと報告されています。赤ちゃんの顔も見れるあおむけ寝がいいかもしれません。寝返りができる頃には、こまめに赤ちゃんの状態を見ることになりますし、周りに口を防ぐものがないか、異物などで窒息しないかどうか気を配ることになります。
■タバコをやめる
両親が喫煙していると、両親が喫煙しない場合より乳児突然死症候群の発症率が4.7倍高くなると報告されています(平成9年の調査)。妊娠中のタバコは、低出生体重児が生まれやすく、呼吸をする中枢にも悪い影響を与え、喘息の発症も高くなります。
妊婦と赤ちゃん、子どものそばでは、禁煙しましょう。閉塞性肺疾患(COPD)や喘息、食道がん、肺がんの発症予防から、禁煙は本人のためになります。
■できれば母乳で育てる
母乳で育てられている赤ちゃんの方が、乳児突然死症候群の発症が少ないと報告されています。母乳には多くの免疫を調整する物質が含まれているからかもしれません。ただ、人工ミルクで乳児突然死症候群が発症するわけではありません。
乳幼児突然死症候群(SIDS)遺族の心のケア
我が子を突然失う悲しみは筆舌に尽くし難いです。原因を知りたくても乳幼児突然死症候群は原因不明であるために、なかなか現実を受け入れられないと思います。本当に……本当に多くの時間がかかり、多くのサポートが必要です。救命の現場に搬送された時には、既に心肺停止であるため、懸命な救命処置でも回復が難しいのが現実です。救命処置の現場が、今でも私の中にトラウマとして記憶に残っています。乳児突然死症候群は、危険因子を減らすことなどで発生数が減っていますが、ゼロではありません。1人でも少なくなることを願ってやみません。
NPO法人 SIDS家族の会
AllAbout記事「乳幼児突然死症候群 SIDSを知ってますか?」もご参考になさってください。