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「あの商売は虚業」と思い込むことの危うさ

社会起業という言葉がポピュラーになっています。なんとなく良い響きがしますが、若い年代の人が使うと、そこにはどこか、「あまり稼げなくても世のためになればいい」という、半分あきらめたような印象があります。

午堂 登紀雄

執筆者:午堂 登紀雄

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「稼げる」というのは人の役にたっている

社会起業という言葉がポピュラーになっています。なんとなく良い響きがしますが、若い年代の人が使うと、そこにはどこか、「あまり稼げなくても世のためになればいい」という、半分あきらめたような印象があります。

しかし、社会起業かどうかに関係なく、「稼げる」というのは「人の役に立っている」ということであり、「価値がある」ということを意味しています。逆に、「稼げない」ならば、役に立っていない可能性が高いため、それで「社会起業」というのは自己矛盾を起こしているようにも思えます。また、虚業とか実業とかにも関係なく、どんな商売でも参入可能性を排除しないようにしたいものです。

ライブドアは虚業だったのか?

たとえばライブドア事件が起こった頃、ライブドアのビジネスを「虚業」と揶揄されたのを覚えている人も多いでしょう。虚業とは、堅実ではない事業、実を伴わない事業という意味です。しかし今となっては、そう言った人は自分の底の浅さを露呈することになりました。ネットの可能性を洞察できなかったということを自ら証明してしまったからです。ネットがあるからこそ人の生活は便利になる。イノベーションが起きる。震災後はツイッターやフェースブックで安否確認ができたように、人々の役に立つ。ネットビジネスは虚業とか、職業によって貴賎があるかのような固定観念であるがゆえに、グーグルやフェースブックといった「虚業」で勝負してくる米国IT企業に、軒並み刈り取られてしまうのです。

また、M&Aのことを指す人も数多く、株式交換やTOB、株式分割といった手法で拡大することを、マネーゲームと言った人もいました。たとえばソフトバンクも買収で大きくなった会社ですが、ではソフトバンクも堅実ではないのでしょうか。グーグルも世界のベンチャーを買収しまくっています。会社を買うというのは、時間を買うということ。ゼロスタートするより、すでに技術なりの基盤を持つ会社を買収するほうが早いわけです。

それに、買収によってオーナーや経営陣が変わり、サービスが改善されて会社が成長すれば、雇用確保にも貢献するから、全体としてはハッピーになります。たとえば先ほどのソフトバンクによるボーダフォン買収。ボーダフォン時代の従業員の中には、年収がダウンした人も多かったようですが、アイフォンが手に入ったのもソフトバンクのおかげです。社会全体としてはハッピー度が増したのではないでしょうか。

結局は、「ホリエモンのやっていること、やろうとしていることが理解できない→不気味だし生意気だ→潰せ」という動機があったように感じます。彼がマスコミから袋叩きにされたり、最高裁上告も棄却されたりしたのを見ると、「国家ぐるみのイジメ」そのものです。学校のイジメは非難されても、メディアによるイジメは非難されないのは大人の都合ということでしょうか。しかし彼は、個人となっても、有料メルマガだけで年収1億円くらいあるそうです。本の印税、講演料、メディアへの出演料など、一般人の何倍も稼いでいます。それだけ価値を提供しているということです。もちろん、完璧な人間はいませんから、ある人にとっては不愉快な面もあるでしょう。しかし、それを超えたところで彼が何を見て、何をしているかを洞察すれば、自分にも真似できる部分が見えてきます。

ネットワークビジネスは怪しいのか?

ほかにも、ネットワークビジネスを批判する人は多くいます。しかしネットワークビジネスビジネスモデルを単純化すると、代理店ビジネス・フランチャイズビジネスのようなものです。それが本社ー代理店という2階層ではなく、何十にも階層が連なっているだけす。また、その報酬システムや、広告費をかけずに顧客を増殖させる教育システムは非常に優れています。

好き嫌いといった感情面は別として、ネットワークビジネスを単純に批判する人は、ビジネスを創る力がない人です。なぜなら、ビジネスモデルすら見抜けないからです。日本では、何か気に入らないことがあると、徹底的に叩くヒステリー体質が蔓延しています。たとえば、たかだか政治家の失言ごときで辞任に追いやるということは、日本人にとっては国家運営よりもスキャンダルのほうが重要だと言っているようなものです。しかし私たちには、ただ感情的に批判して終わるのではなく、ものごとの価値はどこにあるのか、本質は何かを見ようとする知的体力と洞察力が必要です。
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