相次ぐユーロ建てMMFの償還に注意
ユーロ建てMMFの償還が相次いでいます。2012年10月末には、ダイワ外貨MMFとゴールドマン・サックス・MMFの償還が、12月6日には日興外貨MMFの償還が決定しており、現在は新たに購入することができなくなっています。外貨MMFは、アメリカドル(米ドル)やユーロ、オーストラリアドル(豪ドル)など外貨建ての債券などに投資する投資信託の一種。外貨預金やFXとならんで、代表的な外貨建て金融商品の1つです。
<主なユーロ建てのMMFの現状>
2012年10月21日時点。
金利低下による運用難が原因
ユーロ建てのMMFが投資対象としているヨーロッパ地域の金利が低下しているため、運用にかかるコストや投資家に支払う分配金の確保が難しくなったことが償還のおもな理由です。ヨーロッパでは、ギリシャやスペイン、イタリアなど借金の多さが問題となっている国々の国債が売られて金利が上昇する一方で、ドイツやフランスなど信用力の高い国の国債が買われて金利が下がるという現象が起こっており、ユーロ建てのMMFの運用難をもたらす状況がすぐに好転する見込みは乏しいようです。
償還しないユーロ建てMMFを持ち続けるとどうなる?
保有しているユーロ建てのMMFが償還となる場合、新たに購入することはできませんが償還までの間に解約することは可能です。また、取り扱う金融機関によって対応は異なりますが、解約した資金や償還金を円で受け取るほか、ユーロ以外の外貨建てのMMFへ乗り換えたり、ユーロで受け取ってほかの金融機関のユーロ口座へ送金したりすることができるケースもあります※。ユーロを保有している場合、数年来の円高傾向のために為替差損を被っている人も少なくないので、すぐに必要な資金でなければ外貨のままで残しておくというのも1つの方法でしょう。
償還予定のないユーロ建てのMMFを保有している場合、運用する会社ごとに先行きに対する見解が異なる可能性もありますが、金利が低下して運用環境が悪化しているという事情は同じはずなので今後の動向には要注意。「運用報告書」に目を通したり、直近の運用実績を示す「実績分配率」の変化に注目したりするようにしましょう。
※詳細は取引のある金融機関に早めにご確認ください。手続きに時間がかかる場合があります。