川沿いの家のメリット
人々の生活にとって、水は決して欠かすことのできないものです。大昔から人は川の近くに住居を構え、川とともに発展してきた都市も多いでしょう。水道が整備された現代の都市でも、川沿いに建てられた家は多くみられます。そのような川沿いの家を購入するときに注意すべきポイントは何なのか、写真をみながら考えてみることにしましょう。
都市部の川沿いの再開発
河川の下流域に発達した大都市では、なかなか清流を目の前にすることもできませんが、下水道の整備などによって以前より着実に浄化が進んでいるようです。都市の「ウォーターフロント」が見直され、川沿いの再開発も多くみられるようになってきました。川と一体になった街並みづくりも進められ、住民の憩いの場となっていたり、春には桜の花が咲き誇ったりする川も各地でみられるでしょう。
古くから発達した都市などでは、川を利用した景観づくりも行なわれています。大都市の中心部でも、景観に配慮した川沿いの街並み整備がされている例は多いようです。
海に近い下流域などでは、川を行き交う小型船舶やボートが多くみられる場合もあります。
しかし、都市部ではコンクリートでガチガチに固められたような川も少なくありません。一戸建て住宅地を流れる川でも、水に親しむことを拒絶するような姿をみせる場合があるでしょう。
川沿いの家の注意点
さて、場所によってさまざまな表情をみせる川ですが、都市部では河川の境界ぎりぎりに建てられた住宅や敷地も多く、その購入を検討する機会がある人もいるはずです。そのような場合に注意するべきことは何でしょうか。まずは川の環境です。さすがに昭和40年代、50年代の頃のように「近寄るだけで臭ってくるような川」はなくなってきましたが、水面のあちこちにゴミ溜まりができている川は、現在でも多くみられます。
季節や水量によっても変わるため判断が難しい場合もあるでしょうが、少し広い範囲にわたってよく観察してみましょう。日常的にゴミが多く投棄されているようなところも、そこに住む立場でみればあまり気分がよいものではありません。
地盤の強度
また、川沿いの敷地では地盤が軟弱なことも多いため、新たに住宅を建築する際にはその基礎対策などを十分にすることが必要です。中古住宅を購入する際には、その対象物件だけでなく周囲の家もよく観察してみることが欠かせません。注意深くチェックしてみると、場所によっては地盤沈下の跡、あるいは建物の基礎や壁の亀裂が多くみつかる場合もあります。
もちろん、川沿いの敷地ならどこでも軟弱だというわけではありませんが、コンクリートで固められた都市部の川沿いの地盤でも決して安心はできません。
コンクリート河川沿いの都心部の宅地で、工事に伴って少し地面を掘ったところ、断続的に水がしみ出てきてその対策に多額の費用がかかったという事例も多いのです。
また、都市部では川の上流域が暗渠になって、その上部が緑道などに整備されているところも多いので注意が必要です。
私がまだ不動産業の駆け出しだった頃に、某所の川沿いの建売住宅の物件調査に役所へ行ったところ、土木課の担当者から「あそこの敷地は豆腐みたいにふにゃふにゃだからな」と言われたのが強く印象に残っています。
「そんな敷地でどうして建築確認が下りるの?」と大いに疑問でしたが、戸建住宅の建築確認と地盤の強度にほとんど関係がないこと(当時の規定)を知ったのは、その後のことでした。いまでもその「ふにゃふひゃ地盤」に住宅は建っています。
川に並行して造られている道路では、路面に延々と亀裂が続いていることもあります。このような場合にも、周辺の地盤の強度には十分に注意しなければなりません。
増水に伴う河川の氾濫
台風による大雨や集中豪雨のときなど、増水に伴う河川の氾濫にも十分に気をつけることが大切です。浸水が懸念される区域でありながら、半地下車庫を設けた住宅が目立つようなところもありますが、日頃から水害対策をしっかりと考えておくことも必要です。インフラ施設の境界になる場合がある
河川が行政区域の境だけでなく、いくつかのインフラ施設の境界になる場合があることも覚えておきましょう。たとえば同じ市内、町内でも、川を挟んで都市ガス供給区域とプロパンガス区域に分かれることがあります。また、河川によって電話番号の区域が変わることもあります。店舗や事務所の移転などで、馴染みのある電話番号をそのまま使いたくて近所に引っ越したのに、小さな川をひとつ越えたために同じ番号が使えないといった場合もあるでしょう。
その大小に関わらず、川の近くに住むときにはさまざまな面で注意が欠かせません。
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