宮殿ショールーム「フリードリッヒ・オットー・シュミット」
1853年(日本は江戸時代)に創業した「フリードリッヒ・オットー・シュミット(Friedrich Otto Schmidt/ドイツ語サイト日本語あり)」は、王宮や貴族の館、国会議事堂の内装など、様式美にあふれた豪奢な内装を150年以上にわたり代々手掛けてきた会社です。そのショールームはウィーン5区にあるコテック宮殿。1892年にここを買い取り、それ以来数々の王侯貴族や著名人が訪れました。フリードリッヒ・オットー・シュミットのシュールーム。
第二次世界大戦で爆撃にあったものの、修復して今も使われています(一部にその跡が残されています)。重厚な歴史が折り重なった室内を巡りながら、どんな様式の内装で部屋を彩っていくか。貴族や大金持ちたちが夢を馳せた空間です。クラシックを伝承した家具は今も手作りで、宮殿に隣接した木工房で、家具職人が丁寧な仕事をこなしていました。
浮世絵が大きな影響を与えた「バックハウゼン」
バックハウゼンの博物館。古い銀行の建物を生かしています。
ウィーン工房を設立したヨーゼフ・ホフマンの代表作である「ストックレー邸(世界遺産)」などに使われたオリジナルのファブリックスも展示されています。幾何学柄や植物の姿を活き活きと図案化したファブリックスは、今みても斬新です。
中世そのままの銀器工房
中世さながらの銀器工房
ヨーロッパの人々にとって銀器は単なる道具ではなく、財産を保全する役目も果たしています。
何度も映画化・舞台化された名作「レ・ミゼラブル」では、教会で銀のカトラリーや燭台を盗んだことが主人公ジャン・バルジャンを更生させるきっかけとなります。まずしい教会になぜ銀器があるか不思議に思えますが、他国からの侵略を何回も受けてきたヨーロッパ諸国では、貴金属を食器やアクセサリーの形で保有し、いざという時に持ち出せるよう備える習慣があります。
そのため銀器の純度がとても重要視されます。同社では純度92.5%の銀を使用しているそうです。昨今の経済不安を受けて、銀器の需要は高まっているとのことでした。
ウィーン工房のデザイナー達の作品が並びます。
以上駆け足ですが、ウィーンの歴史ある工房を巡りました。これらの歴史あるプロダクツによってコーディネートされたテーブルセッティングから、空間のイメージを自由に羽ばたかせてみてはいかがでしょうか。