キャプテンミライさんへの質問
パンク・ニューウェイヴにもこだわりがあるボカロP、そしてesu-efuとしても野中かりあさんとユニット活動をするキャプテンミライさんにも話をうかがいました。絶対やりたかった曲は?
ガイド:今回の初音ミクによるパンクカヴァー集では5曲手掛けておられますが、以前のインタヴューでも、「パンク、ニューウェイヴなど80年代初頭の音が好きです」と答えておられたので、この企画はぴったりなのかと。特に、キャプミラさんとしてこの曲は絶対にやりたかったというものはあったのでしょうか? 個人的には、JAGATARAの「裸の王様」は白眉でした。
キャプテンミライ:
今回、けっこう頑張ったのですが、またもやうどんゲルゲさんの曲数を上回ることはできませんでした……。
JAGATARAとZELDAはめちゃくちゃ影響を受けたバンドなので、ぜひともやりたく、一番に手を上げさせていただきました。JAGATARAの都会的で胸に突き刺さるような歌詞は僕の原点ですし、僕が鏡音リンというボーカロイドを使うのはその印象が初期ZELDAのサヨコさんを思わせるからに他なりません。また、泯比沙子の「肉体の天使」も、楽曲を制作している原マスミさんの大ファンなので、ぜひとも挑戦してみたかった曲でした。他にもスターリンやウィラードや有頂天、今回は収録されていませんがあぶらだこなど好きなバンドはたくさんありましたが、担当曲数や他の参加者との兼ね合いで断念しました。
パンクカヴァーをする上で考慮したのは?
ガイド:パンクをカヴァーするということで、今回特に音作りという観点から考慮されたことはあるのでしょうか?
キャプテンミライ:
ひとつめはボーカルの処理の問題です。パンクの楽曲というのはメロディは単純だけれどもボーカルの表現力で成り立っているものが多いので、機械であるボーカロイドで、どれだけ歌に情報量を詰め込めるかという点は意識しました。具体的にはボーカルトラックにDAWプラグインのビブラートを使い、音程を不規則に揺らしたり、リングモジュレータを使って音程外の倍音を加えたりしています。
もうひとつは音の面なのですが、パンクロックの大きな武器であるギターを使わずに過激さを表現しようと考えました。ただ5曲もあるとその方法論もだんだん手詰まりになり、レピッシュの「ハードライフ」では、逆に生楽器の演奏に回帰しています。
esu-efuのアイデアはどこから?
ガイド:実は、ぜひひとつうかがっておきたいことが。前回のインタヴュー以降、偶然、キャプミラさんが野中かりあさんとのユニット、esu-efuの『Sing Future』を聴いたのです。元々、飛行機ものが好きなこともあり、クリップも制作された「プロペラソング」は、近未来的な世界観、超ポップなサウンド……にとっては完全にストライク。これは以前からしたためていたアイデアなのでしょうか? また、かりあさんと一緒にやるに至った経緯なども教えていただければと。
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プロペラソング(YouTube)
キャプテンミライ:
esu-efuを取り上げてくださった記事、拝見しました、ありがとうございます。
以前、NHKのキャンペーンソング(YouTube)で野本かりあとコラボレーションする機会があり、そのときから何か一緒にやりたいねと話していたんです。それからいろいろなタイミングも重なって、エスエフの結成に繋がるわけですが、世界観のアイデアは野本かりあと僕とのディスカッションで決めています。サウンド的にも彼女の声に合わせて作ったら、ああなったという感じです。キュンと来るメロディを最低限の音数でポップに仕上げるというところは意識しました。80年代的なシンセブラスのカッティングを今っぽく聴かせたい、というのもありましたね。ちなみに僕は飛行機はあまり詳しくないのですが、「プロペラソング」PV、若干レアな飛行機が写っているそうです。