今回、紹介させていただくのは、この旧居留地エリアにおいて、民間では初のマンションプロジェクトとして完成させた「ルネ神戸 旧居留地109番館」です。
事業主は「ルネ」シリーズのデベロッパー「総合地所 株式会社」、施工はこのエリアで近代洋風建築を作ってきた実績をもつ「株式会社 竹中工務店」ですので、自ずと期待が膨らみます。
大丸百貨店の南の筋、光の祭典「ルミナリエ」が行われる通りを東に向かい、オープンカフェの横を通り、ルイビトンを過ぎ神戸市立博物館を右手に見ながら京町筋を越えて、ランプミュージアムの並び東遊園地に行くまでの間に、「ルネ神戸 旧居留地109番館」があるはずなのですが……。
あまりにも旧居留地らしい近代洋風建築で街に溶け込んでいたので、建物やブティック、ブランドショップを眺めながらブラブラ歩いていると、ついつい見落としてしまいました。1階に「Mont bell」の入った建物が、「ルネ神戸 旧居留地109番館」だったのです。
外壁の下層部は、大理石貼りで、アーチ窓や円柱・角柱などの形状とすることで、伝統的な建築様式の重厚感を演出しています。
さて、それでは建物内に入って行きましょう。
エントランス入り口は、外から見ると、意外とさりげなく設けられており、どこかのビルのようです。これは、防犯も意識した隠れ家的要素を取り入れたもので、プライバシーへの配慮がされているために、敢えてエントランス入り口を強調しないようにしているとのことです。
オートロックのエントランスの横には見通しの良い管理人室があり、侵入者のチェックができるようになっています。
2層吹き抜けのエントランスホールは、木質感と大理石で表現され、落ち着いた色調は豪華さだけを強調するのではなく、やさしさをも感じさせ、框デザインの上部壁面や折上天井が格調を高めています。ホール中央部には上質なカーペットが敷いており、こじんまりとした上質なホテルへ入った時のような心地よい緊張感が感じられます。
エントランス2階にあるドアを開けると、思わず感嘆の声をあげてしまいました。マルチルームと呼ばれるこの部屋は、石貼りのマントルピースがあり、壁面には本棚、天井部はエントランスと協調するような木の格子デザイン、敷き詰められたカーペットの上に配されたソファやテーブル。
さながらヨーロッパのクラッシックホテルのロビーのような部屋は、ゲストを迎えるスペースとして、また居住者のコミュニティスペースとして利用されることが想定され、落ち着いた大人の語らいが聞こえてくるようです。