秋の夜長にオススメな映画「グリーン・デスティニー」

■ストーリー:
19世紀初頭の中国。剣豪達が群雄割拠する時代。全国にその名を知らぬ者はない剣士リームーバイは瞑想修行の最中剣の道から退くことを決意する。

彼は自身の名剣「碧名剣(グリーン・デスティニー)」を知人に献上するため、女弟子ユーに託す。ムーバイとユーはお互い密かに許されぬ恋心を抱く中だった。

無事剣を届けたユーは、そこで貴族の娘で政略結婚の決まっているイェンと出会う。イェンにはかつて自由に生きる喜びを彼女に教え、激しく愛し合う恋人である盗賊のローがいた。

その夜、賊が忍び込み、グリーン・デスティニーが盗まれる。イェンに疑いの目を向けるユー。しかし背後でイェンに剣を盗ませたのはムーバイの師匠の仇敵・碧眼弧で、イェンは碧眼弧の弟子だった。

そのことを知ったムーバイは同時にイェンの剣の才能に気付く。彼女を正しい武術の道に導くため弟子になるよう説くムーバイ。

そして運命の結婚式当日、イェンは再びグリーン・デスティニーを盗み出し行方をくらます。それは壮絶な戦いの始まりであった……。

■主なキャスト:
ムーバイ(チョウ・ユンファ)、イェン(チャン・ツィイー)、 ユー(ミシェル・ヨー )

■オススメの理由:
よく知られているように香港映画を中心に中華圏の映画作品には武侠映画というジャンルがあります。これはかつてのブルースリー、ジャッキーチェン作品を通じて日本でも広く認知されるようになった武術を通じて己の心と体を鍛え上げ強大な敵に立ち向かっていく、といったストーリーを基本とします。

本作はワイヤーアクションによる演出が既に円熟の域に達し、そこにCGによる映像の良質な加工技術が加わることで限界が見え始めていた荒唐無稽さから脱却を果たします。そして超人達が悠然と宙を飛翔し重力のくびきから自由になることで世界中で中華圏の文化にのみ発現した誇張を基とする躍動の美学が開花します。その意味で本作はエポックメーキングです。

そして、これは愛を巡る物語でもあります。許されぬ愛、身分の違う愛、師弟愛。しかし誰も運命から逃れられず皆に悲劇が訪れます。

ラストシーン、全てを悟ったイェンの飛翔は観る側の想像力をかき立て解釈を個々に委ねます。そして劇中の台詞「信は真に通ず」が作品のテーマとしてヨーヨーマが奏でるチェロの深い旋律と共に観客の心に響き渡ります。



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