「こういう形は、部屋の組み合わせから考えるのではなく、まずはスペースを確保するという考えによっています。部屋部屋や開口部は、断片的な“コの字”型の要素(A棟に3個、B棟に4個)の隙間に事後的に振り分けられていったという感じですね」
その言葉どおり、Mさんの家であるA棟は1階が寝室、らせん階段を上って、途中踊り場のような中空の書斎を経て2階がバスルームとトイレ、3階がキッチンとラウンジ。TさんのB棟では1階がフラメンコのスタジオ、2階がキッチンとラウンジ、らせん階段の途中にある中空のバスルームを経て3階が寝室となっています。う~ん、ほんとに見た目にはコンクリートの工作物の中にできた隙間に生活空間を割り振ったという印象がいなめません。しかし、陽光がさんさんと降り注ぐ大きな開口部を持つA棟の寝室や、中空に浮かんでいるかのような、四方八方から丸見えのB棟のバスルームなど、何とも言えない魅力的な場所があることはたしか。それに同じスペースを割り振っても、住む人の個性によって、これだけ空間の使い方に差が出るということにも驚かされます。
限られた予算の中で、同じ目的を持つ施主どうしが土地を分割・活用しながら居住空間を生み出す。そして、そこに住宅プロデューサーというものが介在する。二重の意味で、FLAMINGOは新しい都市住宅建築の方向を示しているのかもしれません。