建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

『箱の家に住みたい』の難波和彦氏が設計した家訪問 難波和彦氏(2ページ目)

『箱の家に住みたい』という著書もある難波和彦さんが建築した「箱の家--集成材造シリーズ」の第4弾の見学会に行ってきました。「斜線制限によって限られた空間に、最大限の室内空間を確保したコンパクト版“箱の家”です」とは難波さんの弁ですが、外からは想像もつかないほどの大空間のリビングが2階に広がる住宅となっていました。

執筆者:坂本 徹也

『箱の家に住みたい』には次のような描写があるので紹介しておきましょう。あるハウスメーカーの依頼で社員の設計研修の講師を担当したときのことです。

 

「『どのくらいのペースで住宅を設計するのですか』と聞かれたので、『5、6戸です』と答えたら、『週にですか』と言われて仰天した。僕は1年の戸数を答えたのである。(中略)現在は事情が変わっているかも知れないが彼らの話では週に20~30戸の設計をするのが普通のペースで、優秀な人になると30戸近くも担当するという。それを聞いて僕は思わず頭を抱えてしまった」

しかし、難波さんはすぐに、ハウスメーカーと建築家との相違を対立させて考える必要はないと気づいたそうです。難波さんは続けて書いています。

「ハウスメーカーは誰もが受け入れられるような一般解をつくり、アトリエ建築家は特定のクライアントに固有の特殊解をつくるのである。僕はといえば、両者を媒介するような建築家を目指したいと思っている。特定のクライアントのための特殊解でありながら、典型的な一般性を備えた解、つまり『普遍解』を提示するような建築家である」

建て主の要求条件とは別に、現代の住宅が満足すべき普遍的な条件を探り出すように心がけていると言う難波さんの思想は、この下井草の住宅にもしっかりと生かされているように思いました。

 

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