ところで編成材とは、小径木を角錐状に加工して接着したブロック状の木材のこと。それを改めて切り出して構造材や肉厚パネルとして使用するのだそうです。古谷さんは、この編成材をモンゴルの建築家協会から招かれて、ゲル(モンゴルの民族住宅)の耐久性強化の研究のため現地に向かう飛行機の中で友人から聞き、いつか使ってみようと考えていたとのこと。
「まず安い。それから強度が強い。厚木の感じが残っていて、視覚的にも触覚的にも無垢の木の魅力を味わえる。なかなかいいなとは思っていたんですが、人の家に先に使うのはどうかと…。それで自邸を建てることになって、最初に自分の家で実証してみることにしました。だからここは編成材の実験ハウスであり、ショウルームなんです」

玄関を入ってすぐが大きなリビング、右手に寝室。それを取り囲むように勾配屋根の下屋があり、アトリエ兼倉庫やバスルームなどに振り分けられています。2階は大きな開口部を持つ寝室が2つ。しかし通常の家のように仕切はなく、あくまでもプラスチック製の簡易ドアで仕切る1室空間といえるでしょう。



しかし、どこに立っても庭の緑が目に飛び込んでくるこの家。古谷さんのお父さんの「地面と床が一体感があるでしょ? 床にすわって庭を眺めていると、いろんな種類の鳥たちが来るのが見えるんですよ。まるで庭の中にいるような感覚になります」という言葉が印象的でした。


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