建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

職人と建築家が木造建築の粋を集めた家をつくった 木と土から生(2ページ目)

それは木と土の家。だけどかなりモダンな風をも感じさせる。そんな「柿の木坂の家」は、自然素材を使って身体にやさしく、子どもたちがのびのび育つようにとの願いを込めて建てられた家でした。

執筆者:坂本 徹也

建築家の荻野紀一郎さんさんは言います。
「この家は、腕利きの職人たちのこだわりがあったからこそ建ちました。
光正工務店の伊東監督、高田棟梁、左官職人の片山さん、杉本塗装店の杉本さん、そして私の友人でもある庭園設計のミスター・ロン……一流の職人たちが集まって腕をふるってくれた。失われつつある日本の伝統職人の技を思いきり随所に生かせたということで本当に幸運な家づくりだったと思います」

その言葉どおり、ここには和の美学をモダンの中にみごとに昇華させた建築家、その意図を丹念に形にしてみせる大工さん、ていねいな仕事をする左官屋さん、日本庭園のエッセンスを小空間に凝縮させることに成功したランドスケープアーキテクトといったプロの職人たちの技が光っています。
調和と静謐、それがここにはあります。その意味ではこれは現代の和風建築のひとつの完成形なのでしょう。


2階に上がると、吹き抜けを取り囲むようにしてコの字型に2つの部屋が設えられています。向かって右手が子ども部屋、左手が寝室、それらをつなぐ廊下の裏手(北側)がガラス張りの快適な浴室となっているわけです。

 

さらに梯子を使って上るとそこには広いロフトが…。ここもすべてが木、木、木! ここまで徹底すると気持ちいい。しかもどの部屋にもダウンライトと間接照明しか使われておらず、そのやさしい光は落ち着いた憩いの空間を生み出しています。さらに地下の駐車場の奥にはシアター兼スタジオ。音楽や映画が趣味というKさんならではの贅沢な空間が広がります。
久々に腰を落ち着けたくなるような一軒でした。

設計監理: 萩野アトリエ 萩野紀一郎、萩野由紀
構造設計: MUSA研究所 中野久夫、岡本隆之
ランドスケープ設計: L+A Ron Henderson
施工: 光正工務店 飯尾光正、伊東英樹(現場監督)
大工: 光正工務店 高田春男(棟梁)
鳶土工:窪治組 窪自修一
左官:片山茂
木製建具:瀧清吉
塗装:杉本塗装店
床材:岡部材木店、鳳至木材

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