線維筋痛症、原因、症状、治療方法、病院

線維筋痛症は、女性が男性より4.8倍発症しやすく、日本人の200万人以上が悩む、慢性痛です

3か月以上長く続く痛みを、「慢性的な痛み」といいます。線維筋痛症(せんいきんつうしょう)は、慢性的な痛みを主症状とする病気の一つです。線維筋痛症は有病率が高いにもかかわらず、その原因はいまだ不明です。また、線維筋痛症診療ガイドライン2011でも、“行うよう強く勧められる”推奨度Aの治療薬も、まだ存在しません。今回は、線維筋痛症の疫学、臨床症状、考えられている原因、治療薬などを説明します。

線維筋痛症の疫学

日本人では、1.66%(都市部2.22%、地方部1.22%)、推定で200万人以上の患者さんが存在します。発症年齢は、推定11~77歳(平均43.8±16.3歳)で、男性より女性が4.8倍多く発症し、50歳代にピークがみられます(平均51.5±16.9歳)(厚生労働省研究班調査)。

海外では、米国で2.0%、カナダで3.3%と報告されています。線維筋痛症は、世界的にも多くの人が悩んでいる慢性痛の病気です。

線維筋痛症って、なに?

線維筋痛症は、米国リウマチ学会(ACR)の1990年の分類基準で、

・体の広範囲にわたる痛み
・痛みが3か月以上続く
・18か所の腱付着部の圧痛点のうち、11か所以上で痛みがある

と、定義されています。

また、第2の病気が存在してもよい、とされています。線維筋痛症は、血液検査などで異常がでないリウマチ症状、MRI検査などで異常が見つからない日常生活に支障をきたす体の痛み、脊髄や脳の痛み伝導経路の異常にも含まれるのではないか、と考えられています。

線維筋痛症の臨床症状

線維筋痛症の主な症状は、「全身の広い範囲に感じる慢性的な痛み」と「特定の部位に感じる圧痛」です。線維筋痛症は全身の痛みの他にも、疲労感、こわばり、頭痛、しびれ、不眠、不安感、抑うつなど、さまざまな症状が見られます。

線維筋痛症の痛みの特徴

線維筋痛症、アロディニア、原因、症状、治療方法

線維筋痛症では、温かいお湯刺激でも、痛いと感じるほど、痛みの神経閾値(いきち)が低下していると考えられています

線維筋痛症の痛みは、通常の痛みと比べて、痛覚過敏やアロディニアがあることが特徴です。

感覚過敏とは、軽い痛み刺激でも激しい痛みを感じることです。痛覚を感じる神経の閾値(いきち)が低下、もしくは反応性が高まった状態、と考えられています。

アロディニアとは、普通なら痛みを引き起こさない程度の軽い刺激でも、痛みを感じてしまう状態です。例えば、皮膚を触るだけで痛い、少し温かいお湯がかかると痛い、ちょっと冷えた水に触れると痛い、などです。

最初に感じた痛みが引き金となり、徐々に体中に広がり、激しく痛みを感じるようになります。痛みは長時間継続し、生活の質が落ちていきます。この痛みは、日によって痛みの部位が移動し、強さも変動する特徴があります。

線維筋痛症の原因

線維筋痛症の発症機序は、十分解明されていません。現在は、「中枢性感作」ではないか、と考えられています。「中枢性感作」とは、脳や脊髄神経の反応する神経閾値が低下して、通常なら痛みを感じない程度の刺激にも痛みを感じたり、本来の痛み刺激よりさらに強い痛みとして感じる現象です。

線維筋痛症の治療

線維筋痛症の治療目標は、痛みを軽くして心身の状態や、日常生活活動の質を改善することです。線維筋痛症の治療方法には、薬物療法と非薬物療法があります。

線維筋痛症の薬物療法には、痛みを和らげる薬、抗うつ薬、抗てんかん薬が主に使われます。線維筋痛症の痛みに対して保険適応がある薬は、プレガバリン(リリカ)です(2012年6月現在)。プレガバリンの詳細は、こちらの記事をご参考にしてください。
慢性疼痛治療薬最前線~リリカの作用、飲み方、副作用


線維筋痛症では、単に寝付きが悪い一般的な不眠と違い、痛みで眠れない不眠があります。この場合の不眠には、睡眠薬を用いず、鎮痛薬を飲むことで睡眠の改善をはかることもあります。

線維筋痛症の非薬物療法には、運動療法や心理療法、温熱療法などがあります。日本では、線維筋痛症患者さんの25.6%が、非薬物療法を行っています。一般的に、薬物療法と併用して行われますが、治療と指導に熟練した医療機関に相談して行うことが大切です。

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