10年前の血糖測定器を特に不都合がないままに使っているけど、そろそろ新機種に交換しようかな? と考えている人は意外と多いと思います。私もその一人で、5年ほど前に同モデルの測定時間15秒の新型に取り替えましたが、すぐに滞在先のスペインで紛失してしまい、バックアップとして用意していた旧型を、そのまま使い続けてきました。なんとなく新しい物の方が正確なような気もするし、使い慣れた物も捨てがたいし、さて…。

取り替える目安は?

コントロール液

コントロール液。血糖測定器とセンサーが正常に機能し、測定が正しく行われている事を確認します。各機種に専用のものがあります。

一般に血糖測定器の保証期間は3年、あるいは器具の耐用年数を5年と設定しているメーカーが多いようです。もちろん、取り扱いを正しく守ればもっと長期に正常に動きます。使い慣れない新機種に、わざわざ取り替えるのも煩わしいものです。

そこで医療プロバイダーや血糖測定器のメーカーに新機種に取り替える目安を尋ねても、何年という期間の答えはないでしょう。恐らく、「精度よく作動している限り、だいじょうぶです」という返事になると思います。もちろん、センサー(試験紙)が製造されている限りは、ということですが。

さて、使っている血糖測定器の精度確認はどうすればいいのでしょうか? 患者自身が行う方法として、次の3点が挙げられます。

  1. コントロール液を使う

    定められた濃度値のコントロール液(写真参照)を測定することにより、血糖測定器とセンサーの両方の精度が確認できます。

    高温多湿の日本では、良心的なセンサーは1個ずつ乾燥剤入りのアルミパックに入っていますから特に行う必要はありませんが、空気が乾燥している欧米オリジンのものでは容器にセンサーがむき出しのまま数十本入ったものも使われます。そこで、センサーの状態を確認するために新しい容器を開封するたびに、あるいは使用中でも時々(ふたが完全には閉っていなかったかも?)コントロール液で測定器とセンサーの精度を確認することが勧められています。

    また、測定器を固い床に落して強い衝撃を与えたり、測定結果が自覚症状と違うと感じたらコントロール液で確認すると安心です。

    私はアルミパックを切り離す際にパッケージに小さな傷をつけてしまった(空気が入ってしまった)ことがあり、後日そのセンサーで見事な(?)異常値を出した経験があります。

    日本ではあまりなじみのないコントロール液は、血糖測定器のセットには付いていませんが、販売元に問い合わせれば無料で郵送してもらえます。コントロール液を用いた精度確認の測定法は測定器の取扱説明書にありますし、期待値の許容範囲はコントロール液の添付文書に記載されています。私は必要に応じて血糖測定器とセンサーの精度と傾向をチェックできるように、コントロール液を冷蔵庫に用意してあります。
     
  2. 点検チップを使う

    血糖測定器に付いている点検チップを指定どおりに差し込めば濃度値を確認することができます。例えば、「95~115mg/dl」の範囲内であれば、正常に作動していることが分かります。

    また、血糖測定用のセンサーを差し込むたびに電気的なチェックが自動で行われていますから、各測定器のエラーマークに注意しましょう。
     
  3. 病院の測定機器と比較する

    定期診察日の採血の際に、血糖測定器を持参して同時に自己測定を行い、検査結果と比べると自分の測定器の傾向がつかめます。当然ながら病院の検査装置の方が誤差がとても小さいのです。検査結果と±15%以内にあれば現在の基準では自分の血糖測定器は合格です。

ここで家庭用血糖測定器の正確性(accuracy)について説明すると、発売されている全機種がISO基準をクリアしています。このISOの基準は、実は二重基準になっていて、低血糖域の測定が難しいため、血糖値75mg/dl未満では±15mg/dl以内、75mg/dl以上では±20%以内に測定値の95%以上が入っていれば合格となっています。

ISOの誤差範囲は随分甘いと感じられるでしょうが、これでも患者がアクションを起こすべき低血糖や高血糖の評価は十分に可能です。実際には、私たちが手にしている血糖測定器の誤差はもっと小さいと思っています。

あくまでも私見ですが、私はインスリン・マルチショットのため、70mg/dl未満の低血糖時の正確さに関心があります。手元にある同じメーカーの新旧2モデルをコントロール液で調べた結果、採血量2マイクロリットル、測定時間30秒のいかにも10年前の旧モデルが、低値域のISO基準許容範囲のど真ん中(±ゼロ)を表示しているのを発見したので、正確さが欲しい夜間の低血糖に備えてベッドサイドにはこれを置いてあります。便利な機能がいろいろ付いている測定時間15秒の新モデルは日常的に使っています。

つまり、私の場合は血糖測定器を交換したのではなく、いいとこ取りの配置換えになりました。使用するセンサーが同じなので問題は全くありません。まだ使用出来る旧型のセットは、非常時の持ち出し袋に入れておくのもいいでしょう。

この10年間の、驚くほどの技術進歩

この10年間で採血量が1/3以下になりました。これによって指先以外の痛みのないところでの採血が可能になっています。測定時間も5~10秒です。また、採血量が不十分の場合はそのアラームが出ますし、同じセンサーに血液を追加できる物も出来ました。

多くの機種は、データ・マネージメント・プログラムを備えており、日付や時刻、食前値/食後値の管理を、患者自身にも医療プロバイダーにも提供してくれます。そろそろ、新機種に交換する頃合いのようです。

さて、制度上の問題かもしれませんが、日本では血糖測定器メーカーが医療プロバイダーの方ばかり顔を向けていて、ユーザーの私たちに十分な情報が届きません。数ある機種の正確度のランキングがあれば選択の参考になりますね。次回はその話を解説しましょう。

1型糖尿病の厳格な低炭水化物食で有名な米国のリチャード・バーンスタイン医師は、以前、自分の患者に「グルコメーター・エリート」の使用を指定していた話を記憶していますが、たぶん低値域の信頼性が高かったのでしょうか。

今はどの機種がお気に入りか、次回までに突き止められたらお知らせします。
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