プロ意識で、授業内容も切磋琢磨
南・・・少し失礼な言い方かもしれませんが、料理人さんの中には、料理はできるけれど話すのは苦手という方もおられるのではないかと思っていました。でも皆さん、とてもお話がお上手ですね。
お吸い物に柚子を添えると、香りも加わり、おいしさに変化が。
園部・・・ありがとうございます。メンバーは、それぞれに店を構える店主ですから、おいしい料理を作りたいという向上心と、授業をよりよくしたいという向上心は同様なんです。こんな表現をした方が伝わりやすいとか、今度はこうしてみようと、お互いに情報交換しています。
南・・・なるほど。料理人同士ですと、ライバル意識が先に立つのではと思いましたが、よいものを作るためには他者の意見を取り入れて、切磋琢磨するというプロ意識が高いのですね。
社会全体で人を育てる風土
南・・・日常の営業もしながら、無償ボランティアで食育活動をされることはたいへんなご苦労があるかと思いますが、日本料理アカデミーのメンバーの方々のモチベーションは、どこからきているのでしょうか。園部・・・京都は、もともと仲間同士で育て合うという意識が高い土地なのかも知れません。私も、料理屋団体の勉強会などにいくと、他店の年上の料理人さんには、料理のアイデアを教えてもらったり、またプライベートで遊びに連れて行ってもらうことも多かったんです。
「あんたのオヤジさんには世話になったんや」と言われてかわいがってもらい、そして今は私が下の世代の料理人たちに「オヤジさんには世話になった」と言って、同様に繰り返す。そういう縁がつながって、次の世代に伝えているんです。これは、京都ならではかもしれませんね。
南・・・なるほど、京都の料理人さんたちが一つの大きなファミリーのような感じですね。そういう社会全体で育ち合う環境があるからこそ、京都の子どもたちに対しても、よりよく育てたいという意識がおありなんでしょうね。歴史の長い京都ならではの成熟した風土と言えると思います。