ホームページ作成/HTML・スタイルシート(CSS)の基礎

CSSの「セレクタ」の書き方 再入門(CSS3対応版)(2ページ目)

スタイルの適用先を指定する「セレクタ」には、様々な条件で対象を絞り込める書き方が用意されています。うまく活用すれば、いちいちHTML側にclass属性やid属性で名前を割り振らなくても、CSS側だけで柔軟に適用先を限定できます。

西村 文宏

執筆者:西村 文宏

ホームページ作成ガイド

要素同士の位置関係から条件を絞って適用対象を指定するセレクタ

CSSのセレクタには、2つの要素の位置関係に応じて、適用対象を限定する以下のような書き方が用意されています。
  • 「子孫セレクタ」:要素αの内側に含まれる要素βだけを対象
  • 「子セレクタ」:要素αの直接の子要素になっている要素βだけを対象
  • 「隣接兄弟セレクタ」:要素αに隣接している要素βだけを対象
  • 「一般兄弟セレクタ」:要素αよりも後に登場する要素βだけを対象

子孫セレクタ (CSS1)

「要素α」の内側に含まれている「要素β」だけに限定してスタイルを適用したい場合は、以下のように要素名を半角スペースで繋げて記述します。これを「子孫セレクタ」と呼びます。
要素α 要素β { プロパティ: 値; }
例えば、HTMLが以下のように記述されている場合を考えます。ここでは、strong要素が3つあります。1つはh3要素内に、残りの2つはp要素内にあります。
<h3>見出しで<strong>強調</strong></h3>
<p>
  段落内で<strong>強調</strong><br>
  <a href="a.htm">リンク内で<strong>強調</strong></a>
</p>
このとき、次のようにCSSを記述すると、
p strong { color: red; }
子孫セレクタ

子孫セレクタ

「p要素の内側に含まれている2つのstrong要素だけ」を適用対象にできます(文字色が赤色になります)。それ以外のstrong要素は対象になりません。表示例は右図の通りです。

この「子孫セレクタ」はCSS1で定義されており、とても頻繁に使われている、基本的な適用対象の絞り方です。


 

子セレクタ (CSS2)

「要素α」の直接の子要素になっている「要素β」だけに限定してスタイルを適用したい場合は、以下のように要素名を「>」記号で繋げて記述します。これを「子セレクタ」と呼びます。
要素α > 要素β { プロパティ: 値; }
例えば、HTMLが以下のように記述されている場合を考えます。ここでは、p要素内にstrong要素が2つありますが、1つはp要素の直下に、もう1つはa要素の直下にあります。
<p>
  <strong>直下で強調</strong><br>
  <a href="a.htm">リンク内で<strong>強調</strong>する</a>
</p>
このとき、次のようにCSSを記述すると、
p > strong { color: red; }
子セレクタ

子セレクタ

「p要素の直下にあるstrong要素だけ」を適用対象にできます(文字色が赤色になります)。p要素の内側であっても、(間にa要素が入っていて)「a要素の直下にあるstrong要素」は対象にはなりません。表示例は右図の通りです。


 

隣接兄弟セレクタ (CSS2)

「要素α」の隣にある「要素β」(=子孫関係ではなく、隣接する関係)だけに限定してスタイルを適用したい場合は、以下のように要素名を「+」記号で繋げて記述します。これを「隣接兄弟セレクタ」と呼びます。
要素α + 要素β { プロパティ: 値; }
例えば、HTMLが以下のように記述されている場合を考えます。ここでは、h1要素の後にp要素が2つあります。
<h1>大見出し</h1>
<p>最初の段落</p>
<p>2番目の段落</p>
このとき、次のようにCSSを記述すると、
h1 + p { color: red; }
隣接兄弟セレクタ

隣接兄弟セレクタ

「h1要素と隣接しているp要素だけ(=最初に出てくる段落だけ)」を適用対象にできます(文字色が赤色になります)。2番目以降の段落は、h1要素とは隣接していないため、対象になりません。

※もし、h1要素とp要素との間にdiv要素など他の要素があれば、1つも適用対象にはなりません。その場合、「『h1要素に隣接している』p要素」は存在しないからです。


 
また、例えば、HTMLが以下のように記述されている場合を考えます。ここでは、3列×3行の表組みを作っています。
<table>
   <tr><td>1列目</td><td>2列目</td><td>3列目</td></tr>
   <tr><td>1列目</td><td>2列目</td><td>3列目</td></tr>
   <tr><td>1列目</td><td>2列目</td><td>3列目</td></tr>
</table>
このとき、CSSを以下のように記述すると、
td + td + td { color: red; }
隣接兄弟セレクタを使って、表を列単位で装飾

隣接兄弟セレクタを使って、表を列単位で装飾

表内の3列目だけに限定して装飾することができます。なぜなら、「td要素の隣にあるtd要素の隣にあるtd要素」という条件に合致するのは、各行の「3つ目のtd要素」しかないからです。表示例は右図の通りです。


 

一般兄弟セレクタ (CSS3)

「要素α」の記述位置よりも後に登場する「要素β」だけを対象にスタイルを適用したい場合は、以下のように要素名を「~」記号で繋げて記述します。これは、CSS3で追加された仕様で、「一般兄弟セレクタ」と呼びます。
要素α ~ 要素β { プロパティ: 値; }
例えば、HTMLが以下のように記述されている場合を考えます。ここでは、h3要素が1つとp要素が3つあります。3つのp要素のうち2つは、h3要素よりも後に登場しています。
<p>対象外の段落</p>
<h3>小見出し</h3>
<p>対象の段落</p>
<p>対象の段落</p>
このとき、CSSを以下のように記述すると、
h3 ~ p { color: red; }
一般兄弟セレクタ

一般兄弟セレクタ

「h3要素が登場した後に記述されているp要素だけ」を適用対象にできます(文字色が赤色になります)。h3要素の記述位置よりも前にあるp要素は、対象になりません。表示例は右図の通りです。


 
さて、次のページでは「属性の有無」や「属性値の内容」に応じて適用対象を絞り込む「属性セレクタ」についてご紹介致します。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます