環境性能も高めた、“自然吸気+AT”のAMG
AMGメルセデスの最新主力エンジンはといえば、63AMG系に搭載されているM157/5.5リッターの直噴V8ツインターボエンジンだ。ところが、新型SLK AMGは、63ではなく、従来どおり55と呼ばれている。容易に想像がつくだろう。M157からターボチャージャーを取り払って、すなわち、自然吸気(NA)の直噴V8としたM152エンジンを積んでいるのだった。
AMGハンドリングパッケージをオプション(98万円)で用意。ハードなチューニングのAMGスポーツサスペンション、コーナリング性能を高めるリミテッド・スリップ・デフを装着。内外装にスポーティなパーツを装着する
これは、低負荷域(800~3600回転)において、2番/3番/5番/8番のシリンダーがシャットオフされるというものだ。最近のマルチシリンダーでは必須アイテムとなりつつあり、メルセデスにとっても二度めのチャレンジである。その結果、新型SLK55AMGは、ハイパワーV8エンジン搭載のスポーツモデルとして、異例の環境性能を達成するに至ったのだった。
AMGスピードシフト7Gトロニックプラスを組み合わせている。AMGファンでなくても、“どうして7速MCTじゃないんだろう? ”と思われたことに違いない。ボクも正直、そう思った。でっかいSクラスやCLクラスにはトルコンを使わずにMCTを使って、車重に引っ張られるようなギクシャク感が出てしまっていたのだ。そこまでしてMCTを使うなら、車重の軽い、しかもスポーツカーのSLKに使わないなんて手はないんじゃないか、と。
答えは、やはり気筒休止ということらしい。
4気筒で走行時においても、8気筒と変わらず、パワートレインをスムースに動かしたい。気筒休止も開始も、ショックなく行いたい。そのために円形のマスダンパーをミッションに追加挿入し、トルコンでその振動を制御した方が、“プレミアム”な走りが実現できる、というのがエンジニアの主張だ。そのあたりの成果のほどは、後述する。
AMG初となるフラップ切換え式エグゾーストシステムや、左右のブレーキを独立して使い旋回性能を上げるトルクベクタリングブレーキ、といったあたりも注目の新装備だろう。