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ユーロ危機をどう乗り切ったか

金融恐慌は怖くない、それどころかむしろチャンスであることを、私のトレード履歴から、3回にわたってご紹介します。今回は3回目でユーロ危機をどう乗り切ったかについて書きたいと思います。

午堂 登紀雄

執筆者:午堂 登紀雄

ニューリッチへの道ガイド

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 なぜ強制ロスカットに遭わずに済んだのか

第一回目「恐慌相場を乗り切った私の方法」
第二回目「ギリシャショックと大震災を私はどう乗り切ったか」
に続く第三回目は、ユーロ危機の乗り切り方を書いていきます。

当時、FXの口座には約600万円ちょっとが入っていました。もし個人口座で、レバレッジ5倍程度であれば、通常であればとっくに強制ロスカットされ、取引証拠金を残して全部失っていたはずです。(いや、あの暴落ではロスカット処理が間に合わず、取引証拠金すら食い込んで目減りしていたでしょう)私が強制ロスカットに遭わなかったのは、法人口座でレバレッジを100倍と高く設定していたため、取引証拠金額が少なく、含み損を吸収する余力があったからだといえます。だからこそ、個人口座であっても、最大の25倍で取引することを推奨しています。
(参考:「オキテ破りのFX投資で月50万円稼ぐ」ダイヤモンド社)

もっとも、今でもときどき欲張ってポジションを持ちすぎ、含み損を減らすために損切りをかけることもありますが、それは100回のトレードのうち1回程度。勝率は99%です。1回の損切り額は比較的大きく、30万円から100万円単位に及ぶこともありますが、それを耐えて回復を待つことで、損切り額を大きく上回る利益になります。

また、暴落相場で強いのは、「売り」で入ることです。このミセスワタナベ潰しは、今後も仕掛けてくると考えられるので、日本の個人投資家に多い単純なロング(買い)一辺倒では勝ちにくくなります。パニック相場に備えて、「売り」の練習をしておくことが必要です。

2011年8月 欧州債務危機

欧州も米国も弱い現状で、退避通貨としてスイスフランと円にお金が集まりやすい状況が続いていましたが、スイスは無制限介入に踏み切りました。スイス中央銀行の断固たる姿勢に投機筋もひるみ、スイスフランが買いにくくなりました。そこで円にお金が集中せざるを得ず、これは円高要因です。しかし円高になればなったで、今度は日銀の介入があって円安になります。投資家はそこでいったん利益確定して円売りに回るので、再び円高圧力になります。もはやイタチごっこの様相で、日銀・政府も頭の痛いところだと思いますが、個人投資家にとってはここにも利益のチャンスがあるわけです。

2011年8月、そして同年10月にも日銀は単独介入に踏み切り、私もそのたびに大きな利益を上げることができました。しかし、相場を張っていて感じるのは、同じ手はそう何度も通用しないということです。今回も小ロットしか持っていませんでしたが、予想以上に含み損が広がりました。そのため、9月はほとんどトレードできず、スワップ金利が20万円ちょっとついただけでした。日銀も介入に使える資金は無尽蔵ではなく、次回のパニック相場では、さらに深い谷になるという前提で、余裕を持ったトレードを心がけようと考えています。

何度も訪れる金融恐慌

欧州債務危機は、今後も再び、しかも何度もやってくるでしょう。現在の政策を見る限り、単なる延命措置であり、問題の先送りにしか思えません。ドイツのような貿易黒字国家と、ギリシャやイタリアのような貿易赤字国家が同じ通貨を使うという矛盾は、ひずみとなって市場を震撼させ続けます。また、ギリシャが倒れれば、ギリシャ国債を保有するイタリアが倒れ、イタリアが倒れれば、イタリア国債を保有するスペインやポルトガルが倒れ、フランスやドイツも大きなダメージを受けます。輪番制で市場から制裁を受けるというか、経済危機は連鎖して押し寄せます。しかし、始めてしまった通貨統合は、もう戻ることはできません。ユーロ崩壊はEU崩壊を意味し、欧州総崩れを意味します。そのため、必ず延命策が取られ、暴落が起きてもやがて収まるでしょう。

しかし、EU各国の財政余力も細ってきており、他国の支援のために自国の税金が使われることに、国民も反対しています。かつてのような大規模な支援は難しいかもしれません。そして、最終的にはどうしようもなくなる可能性もゼロではありません。そのため、安易にポジションを増やすことは、やはり厳禁です。

また、アメリカも同様に、財政赤字・経常赤字、社会保障問題など、いくつもの爆弾を抱えています。サブプライム金融危機による傷は、まだ癒えていませんから、再び景気減速による金融パニックが訪れるでしょう。しかしアメリカはしたたかで、世界最強国家です。石油などの利権や軍需産業を維持するため、基軸通貨としてのドルを死守するはずです。アメリカは覇権を握るためには、戦争でも何でもやる国です。

また、移民大国でもありますから、人口も労働力も増え、内需も旺盛です。グーグルやフェースブック、グルーポンなど、世界に通用するITビジネスが次々に生まれる活力があります。そのため、一時的な調整や暴落局面があっても、また復活するだろうと考えています。だからこそ欧州債務危機では、格付けが下がったとはいえ、米国債が買われたわけです。

私たち一般市民は、こうした金融恐慌に巻き込まれて財産を減らすのではなく、むしろ利用して資産を増やす方向へ舵を切らなければなりません。そこで、暴落時に買い、回復時に利益確定することで、完璧ではないにしろ、かなり高い確率で勝つことができるということです。つまり、多くの人が慌てる悪いニュースが出たときこそ、個人投資家にとっては良いニュースなのです。

これを「逆張り」と言う人もいて、「ハイリスクだ」という人もいますが、投資の世界ではむしろこれこそ「順張り」で、「ミドルリスク」ではないでしょうか。人と同じことをしていて、リスクを取らずして利益が得られるなんていう甘い世界は、存在しないのです。世界の金融リスク、日本の金融リスクをチャンスに変えるには、みなが売っているときに買い、みなが買っているときに売ることです。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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