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ギリシャショックと大震災を私はどう乗り切ったか

金融恐慌は怖くない、それどころかむしろチャンスであることを、私のトレード履歴から、3回にわたってご紹介します。今回は第2回目でギリシャ・ショックを乗り切った方法についてです。

午堂 登紀雄

執筆者:午堂 登紀雄

ニューリッチへの道ガイド

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リーマン・ショック後にまた恐慌が起きるのは当然でした

リーマン・ショックが起きてから、各国の中央銀行は大量のお金を刷って市場に投入しました。その金額は数百兆円とも1千兆円規模とも言われます。そうしたニュースを見て、「この大規模な資金の流通は、いずれどこかにひずみが来る」という思いをずっと持っていました。各国中央銀行が刷りに刷ったお札は、国民や企業に回ることなく、金融機関に留まっていたこと。それらを見て、消費や設備投資に回されず、吸収されることのない資金は、どこかでまたバブルとその崩壊を生むのではないかと考えていました。

さらに、サブプライム証券化商品の損失規模が不明で、米国でもファニーメイ・フレディーマックの不良債権処理がほとんど進んでいない点からも、まだ何発も金融恐慌が来そうだ、という感覚(というか確信)がありました。その第一弾がギリシャ・ショックです。

2010年5月 ギリシャ・ショックが起きた!そのとき私は……

これは、EU加盟国ギリシャで政権交代時、国家財政の粉飾決算が明らかになったことに端を発した経済危機の連鎖です。ギリシャ国債を保有する金融機関は欧州全域にわたっていたため、影響は広範囲になるだろうとの市場関係者は考え、株価も為替も大きく動きました。

リーマン・ショック、ドバイ・ショックの成功に味をしめていた私は、FXで大きく勝負に出ました。300万円の自己資金を投下し、200万円を使ってトレードしたのです。レバレッジは100倍。通貨ペアはやはり豪ドル円とNZドル円。その理由は、オーストラリアもニュージーランドも影響を受けるとはいえ、欧州のように直接的な被害を受ける可能性が低いので、いずれまた回復するだろうという読みがあったからです。特に豪ドルは先進国でもいち早く利上げに踏み切っており、スワップ金利も高い。そこで、1豪ドル78円から参戦し、72円台までナンピンで喰らいつきました。NZドルも同様に、62円から参戦し、58円台まで粘りました。

しかし含み損が拡大し、マージンコールが発動してしまいました。あと少し含み損が大きくなれば、強制ロスカットです。私はここで、追証(資金の追加投入)をしてしのぐことを選びました。欧州各国が協調して支援に乗り出し始めていたため、早晩収まるのではないか、という予想です。そして1ヵ月後。約400万円の利益確定をすることができました。ホッと一息というところでしたが、さすがにこれはやりすぎだと反省しました。含み損が大きくなりすぎて、ハラハラして仕事どころではなかったからです。

この直後に続く世界景気2番底懸念では、保有ポジションを抑えつつトレードしていましたが、2010年9月、日銀の為替介入のおかげで80万円の利益。その後も月平均で約100万円の利益をコンスタントにあげ続けました。

2011年3月、東日本大震災で含み損400万円に!

東日本大震災が起こった翌週、水曜日の早朝、朝起きてFXの画面を見ると、含み損がなんと400万円近くになっていました。個人的には、他の個人投資家と同様、円安を予想していたのですが、週明けの相場ではあまり動きませんでした。そこまで円は脆弱ではないというのが市場関係者の認識なんだろうな、とぼんやり思っていました。

また、日本の保険会社が、保険金支払いのため、海外資産や外貨建て資産を売却して日本円に戻す、いわゆるリバトリエーションによって円高になる、という話題もありましたが、実際には違いました。あとでわかったのは、海外の投機筋による「ミセス・ワタナベ狩り」の動きだったということです。ミセス・ワタナベというのは、日本の個人投資家を総称した呼び方です。

海外投機筋は、日本の個人投資家の傾向として、円高になればロング(買い)ポジションを増やすことを知っています。そこで、震災の翌週前半は、ロングポジションが積みあがるのを待っていたのです。だからこそ、震災明けの月曜日や火曜日には、目立った動きは何も起こらなかった。彼らは、十分引きつけて刈り取ろうとしたわけです。

それが3月17日(木)の早朝。ニューヨーク市場がクローズする直前、オセアニア市場が開く前、もちろん日本人の大半は寝ている時間帯に、それは起こりました。取引が少ない時間帯ですから、少しの資金投下で劇的な効果があります。猛烈な円買いによって一気に円高となったのです。そして、個人投資家が持っていたロングポジションの多くは強制ロスカットされ、さらに円高が進展しました。(ロスカットは反対売買なので、円買いが行われるため)多くのFXトレーダーは、朝起きたらお金がなくなっていた、という状況だったと思います。

日本の個人投資家のポジションを強制ロスカットで吹っ飛ばしてから、投機筋はすかさず反転し円売りに回ります。その後の協調介入によって円安に振れたため、彼らは円買いで儲け、直後の円売りでも儲け、往復で巨額の富を得ました。反対に、日本の個人投資家が持つ巨大な貯蓄が、投機筋に刈り取られてしまいました。こうして日本人の個人金融資産が奪われていったのです。(このため、ミセス・ワタナベ狩りとも言われます)

私はその日の早朝5時に相場を確認しましたが、そこまでの動きはあとでわかったことです。当時の自分にとっては最大の含み損であったため、さすがに不安になり、一部のポジションを損切りして、建て玉を減らしました。為替介入はあると予想できましたが、それまでに資金が底をついてはいけないと思ったからです。しかし、介入の動きは素早く、翌日には協調介入が行われ、すぐに円安となり、私のポジションも利益に転換しました。

このときは約40万円ほどの損切りでしたが、その後の介入円安で、120万円ほどの利益が出ましたから、差し引き80万円の利益となりました。
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