整形外科と形成外科は何が違うの?

整形外科は子どものため?

整形外科は子どものため?

「整形外科(orthopädie 仏語)」はもともと18世紀フランス発祥の言葉。当時はくる病や結核などによって、小児の手足が変形をおこすことが多かったようで、それを治療する医学の一分野として始まりました。

フランスやドイツを中心としてヨーロッパで始まった整形外科は、だんだん大人の外傷の治療や機能回復も扱うようになり、最近では高齢化に伴って、加齢による骨・関節・筋肉・神経といった体を動かす全ての部分(運動器と言います)を治療する科に変遷を遂げています。

一方、形成外科(plastic surgery)は主に体表を治療して見た目を改善する科です。plastyには形成、移植といった意味があります。その手術法自体はとても古くからありますが、近代兵器を利用した二度の世界大戦の戦傷者の治療を経て、その技術が著しく発展し、形成外科として独立したといわれています。

形成外科は主に、生まれつきもしくはケガや癌などで変形したり失われたりした体の表面部分を、外見や機能を含めて正常に近く再建する「再建外科(reconstructive surgery)」といわゆる美容整形である「美容外科(cosmetic surgery)」に分かれます。

ざっくりまとめると、
  • 整形外科=運動器(骨・関節・筋肉・神経)を扱う科
  • 形成外科=皮膚外科
といったところでしょうか。

でも、英語だとほぼ間違われることのないこの二つの科は、どうして日本だとしばしば混乱してしまうのでしょうか?それには様々な歴史が関係しています。

整形外科は小児科と関係が深い!?

日本では明治時代に「orthopädie(othropaedics 英語)」が持ち込まれました。もともとはこの言葉、「ortho(整える、まっすぐにして正しい形に直す)」と「pädie(小児)」を組み合わせたものです。「曲った小児の足をまっすぐにする」というイメージでしょうか。

さて、問題はこれをどう日本語に訳すかですが、当時「矯正科」「整形科」「矯正外科」など色々な候補があったといわれています。

しかし、最終的には時の東京帝国大学教授、田代義徳先生が「整」の字には「これを束ね、これをうち攴(う)ち、これを正しうす(束之攴之而正之)」という意味があり、形を整えれば機能も正しくなるという意味をこめて「整形外科」という名称に統一したとのこと。また、その対象は小児に限ったわけではないということで、単なる「整形外科」になったともいわれています。

ただ、前述のように起源的には小児と深く関連があり、英語で小児科はpediatrics、整形外科はorthopaedicsと、よく似ているのは語源が同じだからです。

整形外科と形成外科も近い

一方、形成外科はその成り立ちからわかるように、皮膚科・耳鼻科・整形外科・眼科・口腔外科など多くの科と関連が深い科です。

さらに、日本でまだ「形成外科学」が確立していなかった時代には、形成外科の代表的疾患の熱傷などの治療が整形外科で行われていたこともあります。今でも指の切断などは整形外科、形成外科どちらでも治療されているなど、オーバーラップする面もあるのです。

でも、混乱の理由はそれだけはなさそう……。次ページでは、さらに根深い(?)整形外科と形成外科の混乱の原因を紹介します。