食と健康/旬・季節の食事の食べ方・レシピ

夏のほてりをナシで癒そう

8月に入ると間もなく立秋になりますが、まだまだ厳しい暑さが続きます。ナシは、食養生で体を冷やす働きがあると言われ、水分補給にもおすすめ。長く厳しい暑さを乗り切るナシの魅力をご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

ナシは水分ばかりで栄養成分は期待できない?

ナシ,アスパラギン酸

ナシには、アスパラギン酸など様々な成分が含まれています。

齧ると水が滴るほどのみずみずしいナシは、おいしい果物ですが、昔から「水分ばかり多くて栄養がない」というイメージが強い食べ物の一つだったように思います。

確かに、ナシに含まれる栄養成分は約90%が水分、しかし微量ながら様々なビタミンや、注目すべき成分も含まれています。

ナシの糖分には、「ソルビトール」という糖アルコールの一種が含まれ、100g中約0.8gと、果物の中でも特に多く含まれています。ソルビトールは、低カロリーで、しかも虫歯になりにくい物質。また吸水作用があるため、便を柔らかくし、便の量を増やして活発にし、お通じをよくします。しかし、ソルビトールは、とり過ぎると下痢をおこすことがあります。

果肉にはザラザラとした独特の食感がありますが、これは「石細胞」と呼ばれ、ペントザン、リグニンなどの食物繊維。ソルビトールとともに、腸を刺激して便秘の予防・改善に役立ちます。

食養生や民間療法では喉の薬

ナシの原産地である中国では、「百果の宗」と呼ばれ、「乾いた喉や肺を潤し、解熱、利尿作用がある」とされ、漢方薬として利用されています。日本でも食養生では、喉の渇きや乾燥によいとされ、絞り汁のうがいなどは民間療法でも伝えられています。ナシの絞り汁に、おろししょうがを加えてほんのり温めて飲むと、のどに優しく、おいしいです。

ソルビトールは、保湿性があるため、食品添加物として、また化粧品や薬品、歯磨き粉などに使われますが、乾燥した喉を潤すというのは、こういう成分の働きが経験的に知られていたのかもしれません。

しかし、水分が多く体を冷やす性質があると考えられ、熱中症が気になるこの季節には、おやつなどにも食べていただきたい果物ですが、冷えが気になる人や、食物繊維も多いことからおなかがゆるい時などは、食べ過ぎには注意しましょう。

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