薬を正しく飲まないと、大きな事故に繋がることも
薬の飲み忘れ、飲み間違いは危険です
既に故人となってしまった私の父ですが、亡くなるまでの数年間はいろいろと困ったトラブルを引き起こしてくれたものです。最初の3年ほどは遠距離介護をしていたのですが、「自らの健康や暮らしの安全のために」と決めた約束事を次々と破るくせに、電話では「すべて完璧。任してチョー」などと調子の良いことばかり言っていました。
掃除や洗濯などは、週に1回の帰省時にどうにか片付けられるのですが、特に困ったものの一つが服薬管理でした。父は高血圧気味で、降圧剤(血圧を下げる薬)を処方してもらっていたのですが、それをしょっちゅう飲み忘れてしまうのです。多くの薬のなかでも、降圧剤は決められた容量・用法を守ることが極めて大事なものなので、帰省するたびに私は口うるさく注意していました。
そんななか、ある週末に帰省したら、いつも玄関まで迎えに出てくる父が部屋から出てこないことがありました。不審に思って部屋をのぞくと、真っ青な顔でベッドに倒れ込み、息も絶え絶えになっている父の姿。ベッドや床には、吐いた跡も見られます。大慌てで病院に連れて行くと、血圧が異常に下がっていることがわかりました。
そのまま緊急入院し、翌日、少し症状が落ち着いたところで医師が父に事情を聞くと、数日分の降圧剤をまとめて飲んでいたことがわかりました。いつものように薬を飲み忘れたことを私に叱られないよう、証拠の隠滅をはかったとのこと。私としては、ただ呆れるしかありません。医師から「たまたま息子さんが早く発見してくれたから良かったようなものの、下手をしたら死んでいたかもしれませんよ」と強く注意された父は、診察の後で私に「もう二度と、血圧の薬なんて飲まんがね!」と逆ギレしていました。
一度に数日分の薬を飲むのは論外ですが、父の健康を考えれば降圧剤はちゃんと飲ませたい。そんな悩みを抱えていた私が、医師に勧められたのが今回ご紹介する「お薬カレンダー」です。この「お薬カレンダー」は父も気に入り、ほぼ決められたタイミング通りに薬を飲んでくれるようになりました。
>私の両親の介護エピソードについて、興味のある方はこちらをご覧ください。
省スペースながら、存在感のある壁掛けタイプ
私が実際に利用していたのが、この「2週間投薬カレンダー 1日4回用」です。2週間にわたって朝、昼、夕方、寝る前という服薬タイミング別に小さなポケットが付いていて、そこに薬を収納するようになっています。基本的には介護を行う家族が薬を整理してポケットに入れておき、薬を飲むべきタイミングになったら高齢者自身がポケットから薬を取り出して服薬するといった使い方になります。
壁掛けできるのでスペースを取らないうえ、壁に占める面積はかなり大きいので、部屋のどこにいても「薬を飲む」ということ自体を忘れにくいのが特長です。
私の場合、薬を整理するついでに透明のポケット部分に水性マジックで実際の日付を記入しておき、よりカレンダー的な使い方ができるように工夫していました。それまで使っていた紙のカレンダーを処分してしまえば、日付を調べようと思うたびにイヤでもお薬カレンダーを見るようになるからです。
2週間用のほかに1週間用もあるので、壁の大きさや介護家族が頻繁に薬の整理を行えるかどうかに合わせて選ぶことをおすすめします。
好きな場所に置いて使えるボックスタイプ
介護家族の方と話しているなかで評判が良いのが、この「くすり整理2週間ケース」です。こちらは2週間にわたって朝、昼、夕方、寝る前という服薬タイミング別に箱の内部が仕切られており、そこに薬を収納するようになっています。壁掛けタイプ同様、介護家族が薬を整理して入れ、高齢者自身が薬を取り出して服薬するといった使い方になります。
ボックスタイプの利点は、テーブルや収納家具の上など好きな場所に置いて使えること。壁面に余裕がない場合などにも、ピッタリです。
数週間分の薬を処方された際、2週間を超える分の薬を収納しておく引き出しが付いたタイプや、1週間タイプなど、さまざまなタイプがあるので、実際の使い方に合わせて選ぶとよいでしょう。
薬局で分包を頼もう
お薬カレンダーを使う際、さまざまな薬を1つずつ整理していくのは意外と手間がかかるものです。
薬局で薬を処方してもらう際には、「朝に飲む薬のセット」「昼に飲む薬のセット」など、服薬タイミング別に分包をしてもらうことをおすすめします。多少の費用がかかりますが、ちゃんと服薬するためのコストと考えれば安いものだと思います。
>お薬カレンダーについて、詳しくはこちらへ。