実績が伴わない人の発言は信用に値しない

このところ、エセ投資アドバイザーに対する注意喚起のコラムを何本か書いた
誰を投資の先生にするか? で自分の明暗が分かれる

誰を投資の先生にするか? で自分の明暗が分かれる

おかげで、批判的な問い合わせをいくつかいただきました。もともとは一般読者に向けて、「アドバイザーを選ぶときの注意」という観点で書いたのですが、一般読者からではなく、当該のFPや評論家からの批判です。

それ自体はよくあることであり、読者には何の価値も無いことなのですが、今回のような反論に回答することは、読者にとっても「自分はどういう目的で、誰の情報に耳を傾けるか」を判断する参考になると思いましたので、あくまで私の「個人的な」考えとスタンスをご紹介したいと思います。たとえば以前のコラムで、「実績が伴わない人の発言は、参考にはなっても信用には値しない」という発言についても、「なぜそんなことが言えるのか」という反論をいただきました。

まず、「参考にはなる」とはどういうことかというと、仕組みや制度などの知識を得るには参考になるということです。私も学者や評論家の書いた本から、理論や知識を学ぶことはよくあります。それ自体はとても参考になります。

そう、価値がないということではなく、それはそれで有益なのです。ただし、それで成果が出るかというと別問題です。たとえば数学や物理がいったい何の役に立つのか? これらは論理的思考力の訓練です。特にビジネスの世界ではロジカルな説明が求められることが多いですから、数学や物理を勉強する過程で培った思考様式は、仕事では非常に役立つわけです。「この商品が売れている。その理由はこうだろう。だからこの商品と同じ要素を持つこちらの商品も売れるのではないか。」という仮説も、論理的思考力があれば導き出せます。経験値の少ない学校の先生では、数学や物理を教えられても、それ以外で語れることは多くないでしょう。

実務経験のない学者もそうです。たとえば人事評価制度の本などを読むと、それ自体は非常に的確な分析、理想的な提案がなされています。しかし、実務で本当に問題になるのは、その制度の運用です。感情を持つ人間がリアルにからんでくる現場組織では、制度は良くても運用でつまづくことが多いのです。知識や情報を教えることは、実務経験のない学校の先生でもできます。

ただし、それは多くの場合、単なる事実情報・分析情報ですから、本人の実績はあまり関係ありません。やはり、学んだことを実務や実生活で生かすには、実際に成功や失敗の経験がある実務担当者や経営者などが補完・翻訳しなければ、使えるようにはならないでしょう。マクドナルドの接客マニュアルやセブンイレブンのオペレーションマニュアルを入手したからといって、同じような成功を得られないのと同じです。