昔ながらの大家さん発想を捨てること
サービス業としての視点を持ちましょう
「賃貸経営はサービス業」「入居者=お客様=主役」。そうした発想に立つオーナーさん以外は生き残れない時代になりつつあります。
賃貸経営の基本は満室経営です。賃貸経営にはさまざまな要素がありますが、成功するかどうかは満室になるかどうかで決まります。いかにして空室の発生を防ぐか。これを空室対策と呼びます。「賃貸経営の成功の鍵は空室対策にある」といっても過言ではありません。
空室対策においてもっとも重要なことは、「賃貸経営はサービス業」という意識を持つことです。これは賃貸経営における鉄則といえます。オーナーさんの心得として一番大事なのは、大家業に甘えず経営努力を怠らないことです。それが空室の原因をつくらないことにもつながります。
賃貸は事業であり、事業を経営していく心構えが必要です。これから厳しさを増す賃貸業界の中で生き残っていくためにも、オーナーさんはサービス業としての視点を持たなくてはなりません。
管理会社やリフォーム業者を下請け扱いし、さらに入居者に対してまで尊大な態度を取っているオーナーさんがいますが、サービス業ではありえないことです。そういうオーナーさんは「賃貸経営はサービス業」「入居者はお客様」という意識が完全に欠落しています。
入居者の満足度を高めて空室を予防する
「テナント・リテンション(入居者の保持)」という概念があります。これはビジネスの世界で、顧客満足度を上げて顧客を維持しようとする「カスタマー・リテンション(顧客の保持)」という概念から派生した不動産用語です。賃貸経営の安定のためには、入居者に長く住んでいただくことがとても大事です。かつて賃貸需要に対して物件の供給が不足気味であった時代には、「転出入が多いほうが礼金や敷金を取ることができて、経営的に望ましい」と思われていましたが、最近では礼金や敷金もいただきにくい状況になっています。賃貸物件の供給過剰により、郊外の不人気物件を中心に敷金0ヶ月、礼金0ヶ月の「ゼロゼロ物件」が増えている状況です。家賃も下落傾向にあり、新しい入居者から以前と同じ家賃をいただくこと自体が難しくなっています。
こうしたこともあり、現在では優良な入居者になるべく長く住んでもらうほうが、収益が上がるという状況に変わってきています。つまりテナント・リテンションに配慮し、入居者の満足度を上げて、きちんと賃料を入れていただける入居者に長く住んでもらうことが、賃貸経営の基本となってきたのです。