Audi(アウディ)/アウディの車種情報・試乗レビュー

格好よくてほどよいサイズ、Q3のアウディらしさとは(2ページ目)

世界的に人気上昇中のコンパクトSUV、アウディからもQ3が登場した。マッシブなスタイルは、兄貴分のQ5よりむしろ塊感があり格好いいほどだ。パフォーマンスも十二分、そのライドフィールは……。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

都内でうれしい、扱いやすいほどよい大きさ

アウディQ3

2リッター直噴ターボエンジンは、最高出力211ps/最大トルク300Nmと170ps/280Nmの2種類を用意。デュアルクラッチトランスミッションの7速Sトロニックが組み合わせられる


都内を転がしていると、やっぱり、これくらいが扱いにほどよい大きさで嬉しくなってくる。港区あたりだと、Q5はもちろん、Q7とも信号待ちで並んだりするけれども、車格に“負けた”という思いは不思議とわかない。むしろ、“ご苦労さんですね”と、相手の余分な大きさを気遣ってやりたくなる。そういうクレバーさが、小さな輸入車の魅力だ。

内外装の仕上げ質感は、もちろんモダンアウディ仕立てだからハイレベル。これと言ってケチをつける必要もなければ、そんな気にもならない。評判のアウディを買った、という満足感にじゅうぶん浸れる。

パフォーマンスは十二分、アウディらしさは……

アウディQ3

アイドリングストップ機構やエネルギー回生システムを装着、211ps仕様の10・15モード燃費は13.8km/lとなる


それよりも、気になったのが、走りの質感の方だった。

パフォーマンスそのものは、十二分である。2リッター直噴ターボエンジンの“力”は頼もしく、それを7速のSトロニックが軽妙かつスムースに引っ張ってゆく。そこまではいい。

けれども、ライドフィール全体に、アウディらしい上質さは希薄だ。パワートレイン以外、どこをどう転がしても、フォルクスワーゲン風味から逃れられていない。同じグループなんだし、といってしまえばそれまでだけれども、そこの味つけを上手に変えてきたのがグループ戦略の要諦だった。

高いクルマほど、乗り味を変えやすいのだ。逆に、安いクルマでは、走りのクオリティよりも、見栄えの盛りが優先された。その結果、アウディらしい走りの煮詰めが甘くなってしまったのだろうか。

否、むしろ、VW各車のライドフィールが、あがってきたから、そう思ってしまうのかも知れない。それゆえ、予算のあまり掛けられないクラスほど、そのライドテイストの差がなくなり、結果的に似た者同士になってしまう。

このことは、プレミアムブランドを抱えるビッグメーカーにとって、モジューラー戦略を推し進めるうえで、最も大きな課題のひとつとなるかも知れない。そう、同じ過給器付きエンジンなのにECUのマッピング違いだけでどうしてこんなに値段が違ってくるの? というエンジンダウンサイジング戦略と同様に……。
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