2線利用可に幹線道路もある、
足回りの利便性の高い街
山手線と都営三田線の2線が利用できる巣鴨駅。駅ビルアトレもあり、賑やか
JR山手線と地下鉄都営三田線の2駅が交差する巣鴨(豊島区)にある地蔵通り商店街はおばあちゃんの原宿とも言われる高齢者の集まる街。そのため、高齢者が遊び、買い物に行く街と思われがちですが、2路線が利用でき、商店街を抜けたところには都電荒川線の庚申塚駅、商店街と並走するように白山通りがある足回りの良さを考えると、それだけの街と決めつけてしまうのは早計というもの。実際の街の様子を見て行きましょう。
駅の南口から六義園方向に歩いていくと、広い敷地の一戸建てなどが目につくように
まずは駅を挟んで地蔵通り商店街の反対側、巣鴨一丁目を見て行きましょう。巣鴨一丁目のうち、白山通りの東側はお屋敷街として知られる文京区本駒込六丁目と接しており、駅周辺は飲食店、風俗営業店などもあるものの、少し歩くと住宅街に。文京区との境近くには広い一戸建てなども並んでいます。
同じ駅の南側でも白山通りの西側はこじんまりした住宅などが中心。小さな公園、並木なども
白山通りの西側は小規模な一戸建て、マンションに混じって小さな工場や店舗などがある地域で、単身者向きのアパートやマンションも多く見かけました。文京区千石四丁目と接しており、車の往来も少ない、静かな場所です。東側に比べると全体に古い建物が多いようです。
駅周辺には商店、飲食店にスーパー、
高校生の姿も多い
駅北側のロータリーを囲んでビルが並ぶ。店舗よりも飲食店、遊戯施設などが多い
続いて地蔵通り商店街と白山通りを挟んだ東側に行ってみましょう。駅周辺には店舗や飲食店、スーパー、風俗営業店、ホテルなどがあり、雑然とした雰囲気。少し離れたところには私立の男子校、公益財団法人三菱養和会の巣鴨スポーツセンターがあります。巣鴨駅周辺はこの男子校以外にも駅周辺に私立の女子高など高校がいくつかあり、平日であれば、高齢者よりも制服姿のほうが多い街でもあるのです。
地蔵通り商店街入り口。この辺りからとげぬき地蔵周辺までは観光客向けの店舗が多い
最後に地蔵通り商店街ですが、ここは中ほどにとげぬき地蔵尊という名で親しまれているお寺があり、境内にある「洗い観音」に水をかけ、自分の体で悪いところと同じところを洗うと治るとされています。そのため、休日ともなると、この観音様の前に長い、長い行列ができるほど。商店街自体は地蔵尊を中心に約800mほどにも渡って続いており、店舗数は200弱。
おばあちゃんに人気という赤いパンツ。大量に並べられているのを見ると、いささか恥ずかしい気分
テレビではおばあちゃんが身に着ける赤い下着や大福などがよく登場し、観光客向けの商店街のようなイメージがありますが、実際には魚屋、八百屋、海苔屋などもあるごく普通の商店街の中にそうした店もあるといったところ。スーパーのように何でもそこで揃うタイプではなく、海苔だけ、お茶だけを商うような専門店が多いのが特徴です。
都電荒川線庚申塚駅。構内に和菓子屋、焼き鳥屋さんがあるという変わった駅
商店街を抜けたすぐ先にあるのが都電荒川線庚申塚駅。都電荒川線は早稲田と三ノ輪橋を結ぶ都内唯一の路面電車で、王子や大塚、三ノ輪橋などで他線に乗り換えられるので、利用の仕方によっては案外便利です。また、ここまで来ると都営三田線の隣駅西巣鴨も近くなります。
行く度に気になってしまう店頭のドリアン。売れるのだろうか?
歩いてみて気づいたのは、物価の安い街であるということ。生鮮食料品店はさほどではありませんが、外食、中食に関してみると、ワンコイン以下の定食、お弁当などもあり、食費は安くつきそうです。また、好みは別として衣類や日用雑貨などもかなりお手頃。この街では2900円以上は高額商品と言われるとどこかで聞いた覚えもあります。また、訪れる度に不思議に思っているのは、この街の果物屋さんにはなぜか、必ずドリアンが売られていること。なかなか売られていない品だと思うのですが、この街には根強いファンがいらっしゃるのでしょうか……。
商店街入り口近くのお休みスポット。ボランティアらしい人が声をかけていたりもする
また、ところどころに座って休める場所が設けられていたり、商店の価格表示が大きな文字で分かりやすいなど、高齢者に親切な工夫も散見されました。そもそも、お店の人などがお客さんの誰彼に声をかける優しさが大きな特徴でしょう。うれしそうに会話を楽しむ笑顔にこの街の魅力が詰まっている気がします。
さて、そんな高齢者だけでなく、住む人にも優しい街
巣鴨の住宅事情を見て行きましょう。