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都市型住宅について(6) 環境と快適性への配慮(2ページ目)

省エネや節電は住宅づくりの大きなテーマの一つです。ただ、都市型住宅の建築においては敷地や建物の狭さの克服が優先され、それらは案外軽視されがちです。今回の記事では都市型住宅について、どのようにすれば環境に優しく快適性を損なわず、かつ省エネや節電が可能になるのか、考えていきます。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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最初に申し上げておきますが、いくら住宅に工夫を凝らしても耐えがたい暑さというのは存在します。そんなケースでエアコンを使用することを否定するものではありません。過度にエアコンなどに頼らず、それでも快適に暮らせる住宅、エネルギー消費の少ない住宅を目指しましょうというというのが、今回の記事の基本テーマです。

住宅内に風の通り道を用意するのが大切

さて、夏場に快適に暮らせる住宅にするには、風通しのよい間取りとすることが大切です。言葉を換えると、住宅内に風の通り道、入り口と出口を用意することです。空気の流れが感じられれば、人というのは案外快適に感じられるものなのです。

シャッター

開閉式シャッターの事例。窓を大きく開けていても外部からの侵入を防いでくれ、外部からの視線を遮ることもできる(クリックすると拡大します)

最近では様々な開口部が用意されるようになりました。例えば、風の入り口はリビングの大きな窓としましょう。出口については、人が通り抜けられない大きさの縦長、横長の開口部を取り入れれば、風が抜けていきます。これだと防犯上も安心です。

このタイプの窓は室内のインテリアの邪魔になりにくいのも特徴です。もちろん設計やデザイン次第ですが、個性的な空間づくりをしたいという都市型住宅向けのアイテムともいえるかもしれません。

防犯上の配慮として、近年、開閉式のシャッターもお目見えするようになってきました。シャッターの部分が開閉するタイプで、これなら夏の夜に窓を開けっ放しにしていても、外部からの侵入を防ぐことができ安心感があります。

格子のような視覚効果があり、外から中の様子がわからなくなりますから、プライバシー確保の点でも優れものです。特に1階にリビングや寝室にこのシャッターを取り入れると良いでしょう。1階は夜には防犯上、どうしても締め切りがちになりますから。

湿度のコントロールにも着目!

ところで、空気というのは温度が高くなると上昇する性質があります。そこで、屋根に窓をもうけるトップライト型の開口部を設けるのも工夫の一つです。この開口から暖まった空気が自然と抜けていくのです。こうした仕組みを煙突効果といいます。

珪藻土

珪藻土は藻の一種が化石化した堆積物。急性に優れ、健康にも優しい素材だ。加工して壁に塗ることはもちろん、成分が含まれた壁紙も用意されている(クリックすると拡大します)

このトップライト型の開口部は日の光を住宅内部に取り込むことももちろんですが、空気や風の抜け道の役割を果たすのです。センサーが備え付けられていて、雨が降り出すと自動で閉じるという機能も備わっていますから安心です。

もう一つ、室内を快適に保つ工夫に湿度をコントロールすることがあります。湿度が高いと、実際の温度よりも暑く感じることを皆さんはご存じだと思います。逆に、室温が高くても湿度が低ければ快適に感じます。

近年は調湿効果のある素材や壁材も多数用意されるようになりました。調湿効果とは湿度が高い時には壁紙などが湿気を吸い、逆に低いときには湿気を出し、建物内部の湿度を一定に保つというものです。

個人的なおすすめは珪藻土を使用した素材。調湿効果が高い上に、天然素材ですから健康にも優しいのが特徴です。それほど高価な素材でもありません。このような素材を活用することで住宅内部を快適に保ち、エネルギー消費の少ない住宅が都市部でも可能になると考えられます。

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