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長期投資家は為替リスクを怖れない

日本の外側に投資するときに、どうしても気になるのが為替リスク。せっかく収益があがっても為替差損で、日本円に換算すると結局は損してしまうのでは?そんな疑問を持つ人に勇気を与える歴史と理論をご紹介します。これがあるから、長期投資家は為替リスクを気にしません。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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これまで投資といえば、日本株を買うことでした。しかし、将来の日本に希望が見い出しにくい今、なかなか日本企業に投資する自信が持てません。ならば日本株にこだわらずに海外の株を買えばいいではないか、と専門家はいいますが、海外に投資するときは、為替リスクが気になります。

事実、この3年間で米ドル円レートは、この5年間で120円から80円へと30%超の円高でした。海外に投資してリターンを実感することなどなかったのです。

為替リスクが怖いから海外に投資はできない、と思う方に、今回は勇気を与えてくれる歴史と理論をご案内します。

アメリカ株は日本株をいつも上回る

1984年1月から27年間に投資していた場合のリターンの日・米比較データをある資産運用アドバイザーからいただきました。この方は尾藤峰男さん。この道33年、CFPとCFA(米国認定証券アナリスト)のダブルタイトルを保有する、プロ中のプロです。現在、びとうファイナンシャルサービス株式会社の代表取締役。

尾藤さんからいただいた以下の表は、日本円で東京とニューヨークの株式市場に投資した場合の長期のリターンを比較していますが、この27年間で日経平均に投資した人は0.9倍で10%のマイナスであるのに、ニューヨークのダウ平均に投資した人は、「日本円でも」3.1倍になっていました。その差、3倍超です。

この「日本円でも」という所が大事です。つまり、円高傾向にあっても、米国株式へ投資していた日本人はしっかり報われてきたということです。

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アメリカ株は常に日本株を上回る



2行目の1993年を起点とする比較では、株式市場でのリターンは日本で0.5倍、アメリカで2.2倍ですから、そのリターンの差は4倍超と広がります。3行目の直近の11年間では、ITバブル崩壊、リーマンショック、ギリシャショックと波乱続きの株式市場でしたが、危機のさなかにあっても、日本の0.4倍、アメリカの0.8倍とやはりリターンはアメリカの方が2倍も良い(マイナスが少ない)のです。

ちなみに、このデータの始点となる3つの時期の米ドル円レートは、1984年1月233円、1993年1月124円、2000年1月107円でした。
 

為替リスクが消えていく?

尾藤さんからいただいた、もう一つのデータは少し専門的になりますが、為替リスクを数値で計測したものです。この分析が意味するものは、為替リスクが長期の株式投資においては、減少するという驚くべき事実です。

A:NYダウのリスクは、15.1%でした(1993/1~2011/12)。
B:米ドル円の為替リスクは、10.9%でした。
C:円換算のNYダウのリスクは、17.8%でした。
 結論は「 A+B > C」ということ。

円で投資することで増えた為替リスクは、10.9%ではなくて、2.7%(17.8-15.1)でした。ということは、その差異の8.2%(10.9-2.7)のリスクは消滅してしまいました。米ドル円の為替レートに存在するレートのブレをリスクとすれば、為替リスクがニューヨークダウに投資することで8%が2%台にまで低減したのです。ただし、これは10年超の長期投資だから得られる果実です。

不思議に思われるかもしれませんが、以上は間違いのない歴史的真実なのです。尾藤さんは、最後に「為替リスクを怖れて外国株投資をためらってはいけない」と力強く締めくくってくれました。

尾藤峰男さんの著書「今こそ始めよう外国株投資入門」(日本経済新聞社)にはさらに詳しく記載されていますので、ご参考にしてください。

次に、その不思議を解消する理論をご紹介します>>

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