加齢と家族構成の変化から不満が
住み替えや改善の意向がある世帯は、どんなところに不満をもっているのでしょうか。調査結果の「住み替え・改善の目的」という項目を見ると、「快適・便利な住宅にするため」が31.2%と最も多く、2位が「高齢期にも住みやすい住宅や環境にするため」の17.3%、3位が「子の誕生や成長などに備えるため」の16.55となっています。グラフ3 改善の目的は快適性や利便性の向上。加齢も要因のひとつになっているようです
4位「快適・便利な居住環境にするため(16.3%)」からは住宅そのものだけでなく住環境も重要だと考えている様子がわかります。さらに、5位「さしあたり不満はないがよい住宅にしたいため(11.6%)」という回答からは、現状、大きな不満を抱えていなくてもよりよい家を求めていきたいという考え方がベースにあることが伺えます。
住宅の改善を阻む最大の理由は資金不足
この調査で興味深いのは、こういった不満を、どの程度の期間で、どのように解決したいと考えているかについてです。住み替え・改善の実現時期については「1年未満」「1~2年」「3~5年」を合わせた5年以内と回答している人が62.2%と過半数を占めています。2005(平成15)年の調査結果の48.9%だったので、不満は早く解決したいと考えている人が増えているわけです。ところが、住み替えや改善の意向がある世帯のうち、その計画の実現に際して困っている点があると回答した世帯が53.3%にもなっています。
その理由は、1位「預貯金(住宅財形などを含む)や返済能力が不足している、またはその可能性がある」で33.6%。そして、2位「支払い可能な額の範囲で、立地、広さ・間取りなど気に入った住宅がない」で17.8%。3位「住宅の改善方法について適当な相談相手(専門家)や適切な施工業者、仲介・販売業者に関する情報が得にくい」9.6%と続きます。つまり、住宅の不満を解決するのを阻む一番の要因は資金や返済能力の不足だということです。
思ったより多くの人が不満をもっている?
実は、調査対象全体の78.5%を占める「住み替え・改善の意向のない」世帯のなかにも、住み替え・改善の意向のない理由として「何とかしたいが資金がなくあきらめているから」という世帯が23.0%もいるのです。これは全体の18.1%に当たります。つまり、住み替え・改善の意向があるという世帯の17.7%をプラスすると、何らかの不満を抱えている世帯は約35.8%に。つまり、住まいに不満を感じている人はそれほど少なくないということがいえそうです。そして、残念ながら、はっきりと不満を感じている層も、あきらめている層も、不満を解決できない最大の理由は資金ということになっているわけです。グラフ4 不満がありながら住み替え・改善の意向のない理由として多いのはやはり資金のようです