3電池&ダブル発電住宅による街づくり
スマートタウンは、「スマートコミュニティ」「スマートシティ」などとも呼ばれますが、要するにスマートハウスを集めた街づくりにより、エネルギー消費やCO2排出量の少ない、環境に優しいコミュニティづくりを目指した取り組みのことを指します。その本格的な事例というのは、「スマートコモンシティ明石台」(宮城県黒川郡富谷町明石台)。2012年4月27日に街開きの式典が催されたので取材してきました。積水ハウスが「グリーンファースト ハイブリッド」という仕様の建物を中心に分譲する街です。
「グリーンファースト ハイブリッド」とは、太陽光発電システム(PV)と家庭用燃料電池(エネファーム)、家庭用蓄電池の3電池を搭載したものです。これにより快適性を損なわずに、光熱費ゼロ(あるいはそれ以上の効果)など大幅な省エネや節電ができるようになっています。
具体的には、エネファーム→PV→蓄電池→商用電力(電力会社からの購入)の順番で電力使用を制御。日常的には、朝から夕方の電力需要のピーク時にPVやエネファームで発電し、電気料金が割安な深夜に電力を蓄電池に貯め、結果的に省エネと光熱費削減を行うというイメージです。
停電時には自動で3電池に電力供給システムが切り替えられ、予め設定したコンセントや照明などはそのまま使えるのも特徴。ガスをエネルギー源とするエネファームが搭載されていますから、水道設備が無事なら入浴も可能だといいます。要するに、非常時でも慌てず普段通りに暮らせる可能性がより高くなるということです。
完成すれば「街全体が発電所」の規模に
「スマートコモンシティ明石台」は全431区画(第一期は52区画)の開発計画で、その2~3割が「グリーンファースト ハイブリッド」となり、その他はPVとエネファームによるダブル発電仕様となるそうです。停電時のHEMSの画面。商用電力(売電と買電)から遮断され、エネファームと蓄電池から電力が住宅に電力が供給されていることがわかる。停電時に自動制御でこのような状態になるのもポイント(クリックすると拡大します)
このことからわかるのはスマートハウスが新たな街づくりに向いているということ。既存市街地に散在する新築住宅をスマートハウス化するのも一定の効果がありますが、スマートハウスが一定量集まりコミュニティを形成するスマートタウンの方が、より高い効果が期待できるという意味です。
というのは、コミュニティがエネルギーをどれだけ需給(消費と創エネ)しているのかを把握がしやすく、電力会社による発電のピークカットに大きく貢献できるからです。ですから、今後のスマートグリッド社会の到来をリードするものとして、スマートハウスは注目されるのです。
ところでスマートハウス、スマートタウンといっても、その内容は特別に定義されたものではありません。今後、それらの名称で様々な商品や街づくりが行われると思われますが、その中には上質なもの、そうでないものが混在してくるでしょう。
「スマートコモンシティ明石台」は、上質な街づくりを知る上で良い事例となると思います。そこで、次のページでその内容について詳しくご紹介します。