将来もらう年金額はどうやって決まっているのか。その仕組みを理解しておきましょう
今年度の支給額は前年度に比べると0.3%引き下げられています。
今回は、どうして年金額が引き下げられたのか、年金支給額の計算の仕組みとともにご案内します。また、今年度中にもう1度年金の支給額を見直すことも検討されているので、その理由もあわせて解説していきます。
<INDEX>
・平成24年度の年金支給額
・事例:男性66歳の年金額は?
・今年度は2度変わるかもしれない?
・物価に影響されない、将来の安定した収入確保のために
・年金支給額の改定方法
平成24年度の年金支給額
少し昔を振り返ると、平成18年度の年金支給額は、平成17年の物価水準が0.3%下落したので0.3%引き下げられました(下図(1))。その後、物価は上昇しましたが、物価スライド特例措置により平成19年度から平成21年度までは据え置かれています(下図(2))。また、物価水準が直近の年金減額改定が行われた年の前年の物価水準より下がった場合、翌年度は減額されることになっています。これにより平成23年度は引き下げられました。
平成24年度の支給額を決定するには、前年の平成23年の物価変動と平成22年の物価水準とを比較して決めています。平成23年の物価水準は平成22年に比べて0.3%下落したため、平成24年度の支給額は0.3%引き下げられることになったのです(下図(3))。 平成23年度の満額の老齢基礎年金(40年間国民年金の保険料をすべて納付した場合の支給額)は788,900円でした。平成24年度は0.3%引き下げ、786,500円(100円未満は四捨五入)となります。
一方、老齢厚生年金は、生年月日と性別により支給開始年齢や支給される年金が異なります。現役時代の保険料計算の基礎となった標準報酬の平均と加入月数から年金額を計算する「報酬比例部分」が中心です(詳細は「年金はいつからもらえるの?年金の繰上げって?」をご覧ください)。平成24年度は以下の計算式により求めることになっています。
事例:男性66歳の年金額は?
それでは、事例で比較してみましょう。【例】
サトウマコトさんは昭和21年4月10日生まれの66歳。昭和41年からの30年間は自営業者として国民年金に加入していましたが、事業を法人化して厚生年金の加入者となり平成18年4月の60歳まで加入していました。サトウさんの年金加入歴は以下のようになります。
サトウさんの場合、平成24年度の年金額は3,800円減額になっていることがわかります。