個人向け国債変動10は、償還まで10年間持ちきらなくても良い
10年変動の個人向け国債や個人向け社債も、リスクが低いという点で、運用ビギナーにはトライしていい商品。個人向け国債は、他に買ったときの金利が満期まで続く3年固定と5年固定がありますが、金利面では変動10年の方が有利。なおかつ、金利上昇時にはその波に乗れるというメリットもあります。1万円から購入ができ、リスクが低い個人向け国債は貯蓄の強い味方
「10年と聞くと長期に預けなくてはいけないと思いがちですが、発行から1年が経過すれば解約できます。1万円からの一部解約も可能。流動性があるんです」(深野さん)
また、個人向け社債は金利1%後半といった商品もあり、人気が高いです。売り出しても即日完売という商品が多く、抽選方式での購入になることもあります。こまめに発行情報をチェックしておくことが大切。とは言え、リスクもありますから、格付けがBBB以上のもので、1年か長くてもせいぜい5年程度の短・中期債を選択するといいでしょう。
深野さんが復興応援国債をおすすめできない理由とは
話題となった復興応援国債はどうでしょうか。現行の10年変動の個人向け国債をベースに、発行後当初3年は下限金利である0.05%が、4年目以降は通常の基準金利×0.66で計算された金利がそれぞれ適用されるというもの。発行より3年目に当たる基準日には、保有残高1000万円毎に1万円金貨1枚、100万円毎に1000円銀貨1枚が贈呈されるのが大きな特徴です。「金融商品としてはおススメしません。注目すべきは、保有残高に応じて受け取れるプレミア型(額面より材料費の量目の価値が高い)の金貨と銀貨。プレミアという言葉に心が揺れますが、試算してみると、金(もしくは銀)価格が今後大幅に上昇し、かつ長期金利が史上最低を大幅に更新しない限り、通常の変動10 年の個人向け国債の収益を上回ることはありません。復興支援のために寄付したいという気持ちがあれば、直接寄付をした方が、寄付金控除を利用できる上、資金使途がはっきりしていいのではないでしょうか」
貯蓄額が増えたら、投資も組み入れよう! FP深野さんイチオシの「増やす」投資商品とは
取材・文・撮影/清水京武 監修/深野康彦(ファイナンシャル・プランナー) イラスト/竹松勇二