傷病ごとの入院診療費をチェック!
次に、がん(悪性新生物)や脳血管疾患など、傷病ごとの入院診療費についてみていきます。健康保険による診療費の違いとともに、傷病による診療費の違いも確認できます。さらに、直近(平成24年度)の数値と3年前(平成21年度)の数値を並べておきましたので、この3年間の入院診療費の動向も確認できます。がんはどの健康保険でも入院診療費が高額
がんの入院診療費はかなり高額で、1件あたりではどの健康保険でも全体平均より20万円くらい高く、1日あたりでも1万円以上高くなっています。しかし1件あたりの入院日数は平均より短くなっています。3年前と比べると、入院日数は若干短くなっていますが、診療費がかなり高くなっています。例えば組合健保は、平成21年の62万3156円からわずか3年で71万3056円へ、8万9900円(14.4%)も高くなっています。がんの場合は、健康保険が適用されない抗がん剤もあれば、陽子線治療や重粒子線治療などの先進医療による治療もあるので、傷病全体からみれば平均以上の経済的負担がかかると想定しておくほうが無難です。
糖尿病はここ3年で入院日数が短縮
糖尿病の場合は、入院診療費は全体平均よりもやや低く、例えば協会(一般)の場合、全体平均46万5204円より11万円も低い35万5021円となっています。3年前と比べると、がんほど極端ではありませんが、入院診療費は高くなり、入院日数は短くなっています。脳血管疾患は入院日数が平均より長く、診療費を押し上げている
脳血管疾患の場合は、がん以上に入院診療費が高額で、組合健保では1件あたりの入院診療費が78万3940円にもなります。入院日数も平均と比べてかなり長く、組合健保では平均9.2日に対し、倍近い17.7日となっています。ただ1日あたりの入院医療費はそこまで差がないことから、脳血管疾患は入院日数が長いことで、診療費が高額になりがちと言えそうです。また3年前と比べると、入院日数はほとんど変わらないのに、診療費はどの健康保険も軒並みアップ。共済組合では66万7233円から78万1419円へ、11万4186円(17.1%)も高くなっています。
骨折は特に高齢者で費用がかさむ傾向
骨折の入院診療費は全体平均と似た内容になっています。特徴的なのは、後期高齢者医療の場合、骨折の1件あたりの入院診療費ががんや脳血管疾患よりも高いことです。高齢者にとっては、骨折に対しての備えもかなり重要視しておく必要がありそうです。入院にはこれだけお金がかかる。では、どう備えればいい? 続きは次のページで。