雨の前に古傷が痛む?
雨が降る前に関節などの痛みが強まり、うんざり……ということはありませんか?
肩やひざ、足首などの関節痛や、肩こり、腰痛を訴える人の中には、天気が悪くなる前に、症状の悪化を感じる場合があります。交通事故やスポーツ外傷による古傷が痛み出し、痛くなったと思ったら、天気が崩れ雨が降り出した、という話もよく聞きます。
痛みの程度や感じ方は個人差が大きく、少し気になるという程度の人もいれば、気分までどんよりし、症状に対しての不安感が増強してしまうといった人もいます。そうなると、症状の不快感の記憶が強まり、週間天気予報を見て、天気が崩れるという情報を知るだけで、「また、関節が痛くなるのか」思い、早々に痛みを感じ始める人も。
天気と痛みの関係とは?
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか? それには、自律神経系の交感神経の興奮が関係していると言われています。天気が崩れる前に、痛みを感じやすくなるのは、低気圧が近づく際に、体を緊張させる働きのある交感神経が興奮することが関与していると考えられます。
交感神経が興奮することでノルアドレナリンという物質が産生されます。その作用で血管が収縮し、酸欠状態になり、痛みを感じる神経を刺激する物質が産生され、痛みなどの不快な症状を感じる状態になると考えられています。筋肉や関節などの状態が正常であれば、こうした影響を受けることはありませんが、既に痛めていたり、完治しておらず炎症しているケースでは、天気の影響で気圧が変化することから、影響を受けてしまいます。
痛みによるさらなる悪影響とは?
天気と心の影響も痛みの出方に差をうむようです
また、交感神経の興奮は、痛みに対する不安感が増強することでも起こります。そのため、天気が悪くなると痛みが出る、といった記憶が強い人は、週間天気予報で雨の予報を見ただけでも、不快な症状やさらなる不安を感じるようになる可能性があります。
このように、天気に影響を受ける人もいれば、天気の良し悪しは全く関係なく痛みや症状の悪化を感じる人もいます。実際に、気圧の変化による交感神経の興奮が、痛みに関わっていると考えられる人もいる一方で、今まで、雨降りの前に症状を訴えていた人が、天気を気にせず生活をするようになったところ、雨降りの前でも症状を感じることが無くなった、というケースもあります。
専門医に相談するという選択も
ご自身の状態が、天気を意識しなくなれば無くなる痛みなのかどうかの、判断は難しいですし、意識すること自体もなかなかできないと思います。いずれにしても、痛みや不快な症状を感じる回数や期間を減らすことで、痛みが感じやすくなる状態になることを予防しなくてはなりません。
日頃から、交感神経の働きが優位になり続けないように、筋肉をほぐし心身共にリラックスできると理想的です。過去の怪我などによる関節の痛みについては、専門医や専門の施術院で処置を受けたり、マッサージを施してもらうほうが、安定する場合もあります。