“キレ味”だけでなく“コク”もしっかり感じさせる
最高出力245ps/最大トルク350Nmを発生する2リッター直4ツインスクロールターボエンジンにステップトロニックの付いた8速ATを組み合わせる。アイドリングストップ機構やブレーキエネルギー回生システムを備え、10・15モード燃費は15.6km/l
都内を走り始めてすぐに感じるのが、ここ数年のBMWとは違って、はっきりとコンフォートな味つけになっているという点だ。かといって、けっしてダルなわけではない。すべての応答性はクリアかつ素直で快活なのだけれども、妙にいきったところがない。ステアリングフィールも、キレ味だけを強調するものではなく、キレたあとのコクもしっかり感じさせる類になった。
ただし、ステアリングフィールには、いまだしっくりこない場面が、以前よりは減っているものの、何度かあった。特に、日本の街中の常用域において、妙なタメというか、引っ掛かりを感じることがある。ステアリングフィールはBMWの“肝心”だ。さらなるチューニング精度の向上を望みたい。
エンジンパフォーマンスは、スペックからも容易く想像できるように、申し分ない。3リッター直6の、あの回して気分のいい感じこそなくなったものの、力強さとシャープな吹けという“BMWらしさ”は十分、残っている。官能的、とは言わないが、よくできたエンジンだ。きめ細やかで、スムースな変速を促す8ATの存在も大きい。
エンジンをぶん回して、速く走るだけがクルマを駆る歓びではない、と主張するのが、エコプロモードの存在だ。すべてを抑制気味にして、高効率な運転をリードするシステムだが、これが望外に気持ちいい。確かに動きはかったるいけれども、クルマの動きに妙な力みがなく、バランスもとれていて、ハンドルやペダルの操作フィールがいちいち気持ちよかったりする。だから、急がず、ゆったりとワインディングを流すというシーンが、このうえなく楽しかった。高速道路でも、しかり……。
走行特性を最適化するドライビング・パフォーマンス・コントロールを標準化。従来からのコンフォート/スポーツ/スポーツプラスに加え、駆動系だけでなくエアコンまで制御することで燃費をさらに向上させる、ECO PROモードが設定されている