住まいのプロが提案「イエコト」/住まいなでしこ ~女性目線のすまいのヒント~

母を孤独にさせないキッチン(2ページ目)

毎日の家事の中でも欠かせないのがキッチン作業。家族の食事をつくって、片づけて…毎日のことだから母が1人でストレスためないように、家族がお手伝いしやすいキッチンにしたい。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド


作業効率がよければいいわけではない

料理に専念できるコの字型キッチンの例。

料理に専念できるコの字型キッチンの例。ここまで広ければいいけど。

キッチンの設計をする時は、作業効率が良くなるように動線や、家電、食器棚などの配置を検討する。ちなみに良識のある設計士にキッチンの設計を頼んだら、持っている家電やお皿の数までヒアリングして、きっちり納められる計画を立ててくれるだろう。

作業効率という点でみれば、シンクの前に立ち、数歩歩くだけで必要なもの(=調理器具、食材、調味料、配ぜんスペース、食器等)が配置されていると効率がよい。しかし、効率を重視した結果、母一人で完結してしまう孤独な作業場になってしまうとしたら、それほどつまらなくわびしいものはないと思う。 

 

シンク脇のスペースがカギ

シンクとコンロの間のワークスペースは広い方がお手伝いが入りやすい

シンクとコンロの間のワークスペースは広い方がお手伝いが入りやすい。

狭いキッチンでも人を呼び込むためにはキッチン作業の中心となるシンクの両脇に、ある程度空間があればいい。

例えばシンクとコンロの間にあるスペースは、食材を切ったり下味をつけたりする場であり最低でもまな板がおける空間が必要だ。しかし複数人で作業する場合はここには「まな板の幅+α」の少々のゆとりが欲しい。

 


ファミリーなら流し台の幅は最低でも1.5メートルは欲しい。

ファミリーなら流し台の幅は最低でも1.5メートルは欲しい。

そしてシンクを挟んで反対側は、最低でも30~40センチ程度の隙間が欲しい。据え置き型の食洗機を置けるし、置かないとしても人が1人入り込むことができるスペースとなる。我が(賃貸)マンションのキッチンはシンクのすぐ隣に冷蔵庫を置く配置になっているからダメなのだ。

しかし同じマンションのママたちは工夫していた。冷蔵庫を、設計意図とは想定外の場所に移動させ、シンク脇に作業台を置いて使いやすくしている人が多い。その代わり、廊下に通じるドアを一つつぶしたり、冷蔵庫の開き勝手が反対になって不自由していたり、それなりの代償を払っている。

全てが満足する理想のキッチンを実現させるのは本当に難しい。でもほんのちょっとのことで使い勝手は大きく変わる。自分のライフスタイルを考慮に入れて、狭いキッチンこそ細かい気配りを持って計画したい。

【関連記事】
家族が集う場所をつくろう~大テーブルのススメ
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます